【MBC賞】がん患者らつながる“居場所”“いのちの大切さ”届ける がんサポートかごしま

地域社会の発展に貢献し、今後の活躍が期待される団体や個人に贈られるMBC賞の受賞者紹介。
2回目は「NPO法人がんサポートかごしま」です。

「ここに来てちょっと笑顔になって帰って下さったらいいなと思っている」

「NPO法人がんサポートかごしま」の理事長、三好綾さん(48)です。

2007年、鹿児島市の県民総合保健センター内に「がんサポートかごしま」を設置。
患者や家族のケアなどを通して、がんと向き合う人たちを支えてきました。

現在、15人が運営に携わり、保健センターや病院のサロンで相談に応じています。

三好さんががん患者らのサポートを始めたのは自身が27歳のときに乳がんを患ったことがきっかけでした。

(三好さん)「相談相手がいないことが孤独につながりさみしさや不安が特に大きくなって、同じ患者と初めて会う機会があり、その時に得られた安ど感が頑張る力に変わった」

がん患者や家族をつなぐ「居場所」が必要と痛感した三好さん。サロンでの活動に加えて、去年12月、新たに鹿児島市小野に「がんサポHOME」を開設しました。

自宅のようにくつろげる場所にしたいと空き家を活用し、毎週火曜日に患者らが交流するサロンを開いています。

(息子ががん患者)「(息子は)ここに来てからどんどん明るくなってきて、自分と違うがん患者の方を見て、みんなすごいよって言って勇気をもらえる」

副理事長の野田真記子さんは、今もがんの治療を続けています。

(がんサポートかごしま 野田真記子副理事長)「(抗がん剤治療で)髪の毛が抜けるのがどうしても嫌で、(がんサポに)行ったら私も抜けたよ、私もそうだったという話をしてくれて、こんなに(元気に)なれるのだったら頑張ってみようかなって帰りには思っていた。でも3時間ぐらい独り占めして話した」

(三好さん)「一対一で」

がん患者らの支援に取り組む一方で、2010年から続けているのが小・中・高校生への「いのちの授業」です。

ことし8月末までにおよそ6万人、のべ332校で実施。
今年度からは県の支援も受け、がんの正しい知識や、いのちの大切さを伝えています。

(三好さん)「自分が死ぬかもということも怖かったし苦しかったけど、生きていきたいという気持ちがすごくあった」

(大崎中3年)
「祖母が腸がんで治ったが、僕も遺伝すると聞いてとても怖かったけど、三好さんの話を聞いて克服できると安心した」

「いま生きること、一生懸命頑張るという言葉が一番印象に残った」

「(Q.うるっと来ているが大丈夫?)泣きそうでずっと我慢していた」

(三好さん)「みんなが自分のことを大事に思ったり、周りの人の命を大切に思ったり、ちょっと立ち止まって気付いてもらえるような授業でありたいと思う」

がん患者らに寄り添ってー。
三好さんは、居場所を提供し続けます。

(三好さん)「温かい場所でありたいといつも思っている、そういう場所が増えていったらいいなと思う。仲間たちに助けてもらいながら頑張りたい」