【防災・私の提言】香川大学・竹之内健介准教授 「避難スイッチ」で命を守る
きょう9月1日は防災の日です。
シリーズ「防災・私の提言」、今回は、ニューズナウでもお伝えしている「防災スイッチ」、「避難スイッチ」を提唱する香川大学の竹之内健介准教授です。風水害から逃げ遅れずに命を守るにはどうすればいいのか?聞きました。
(香川大学 竹之内健介准教授)「どれだけ危ないっていうのを知っていても、行動が遅れてしまったら、何の意味も持たない。これが大雨による災害です」「実際の水害時には、どこが危ないかだけでなく、いつ避難するかが本当に命にかかわってきます」
地域防災や災害情報などが専門の香川大学・竹之内健介准教授です。竹之内准教授が京都大学の矢守克也教授と提唱するのが「防災スイッチ」や「避難スイッチ」と呼ばれる考え方です。
(竹之内准教授)「これは一言で言うと『避難するタイミングを事前にみんなで決めておきましょう』という取り組みになっています」
避難のタイミングを自分や家族、地域で、あらかじめ決めておくのが「避難スイッチ」。気象台や行政などからの情報に加え、近くの川の水位が上がったり側溝から水があふれるなど、身近な場所の変化を避難の目印や基準にします。
(竹之内准教授)
「例えばこの川の、この石が(増水で)隠れたら、もう溢れる寸前だから、やっぱり声かけをして避難しようとか」
「行政の情報と地域の情報をうまく組み合わせながら、それぞれの地域で自分たちに合ったスイッチを考えてもらうのがいいのではないかと思います」
危険が差し迫る前に早めに避難を終えようという避難スイッチ。地域の災害の想定がわかるハザードマップは避難スイッチを決める際にも役立ちますが、竹之内准教授はこうアドバイスします。
(竹之内准教授)「ハザードマップを見るだけで満足してしまう人もいるが、実際にその場所に行って確認するということも実は非常に重要で、確認することで気づくことも結構あったりするんですよね」
川の増水や冠水、土砂崩れなど、どんな変化が起きるか現場でイメージすることが、避難スイッチに役立つのです。
(竹之内准教授)「この川がここまでくると、すごい流れになるんだろうなというのが実感としてわかったりもしますので、やはり実際に現地で確認するというのも大切なことかと思います」
そして竹之内准教授が薦めるのが、普段から簡単にできるこんな取り組みです。
(竹之内准教授)
「ぜひやってみてくださいねと言っているのは、「防災散歩」っていう言葉があるんですね。」
「これは例えばお子さんとかがいる世帯であれば、ふだん、よく散歩したりすると思う。そういった時に、単に地域を回るだけじゃなくて、子どもたちと“ここって実は川があふれるとここまで水位が来るんだよ”とか、“昔、実はここの川があふれて、地域はこんなふうになったんだよ”とか」
普段通りの散歩をしながら災害のリスクに気付くことができる、防災散歩。家族や地域で避難スイッチを決めるうえで役立ちます。
(竹之内准教授)「川の危険とか山の危険を知ってもらうとともに、どのタイミングでどういう(避難)行動をするか、話し合うきっかけにしてもらう意味もある」
大雨であっという間に起きる川の増水や洪水、そして、いつ起きるかわからない土砂崩れ。逃げ遅れずに命を守るためには、行政などからの情報だけでなく、身近な変化に気づいたと同時に避難スイッチで行動することが大切だと、竹之内准教授は強調します。
(竹之内准教授)
「実際に災害が起きるまでの間にいつ行動(避難)するかというのを決めるのはひとりひとり、地域や家庭の判断になる」
「“こんなことになるとは思わなかった”とか、“こんなことは初めてだ”というような状況にならないためにも、ぜひ各家庭で避難スイッチを検討をしていただいて、しっかりと行動できるような心構えを持っていただきたいなと思います」