新燃岳 本格的マグマ噴火から11年 地元は今…専門家は

霧島連山の新燃岳でおよそ300年ぶりとされる本格的なマグマ噴火が発生してから1月26日で11年です。専門家は「次の噴火がいつ起きてもおかしくない」と警鐘を鳴らします。

新燃岳の火口からおよそ7.3キロ離れた霧島小学校で26日、避難訓練が行われました。訓練の想定となったのは11年前の噴火です。

2011年1月26日、新燃岳でおよそ300年ぶりとされる本格的なマグマ噴火が発生。宮崎側で多量の軽石や降灰があり、鹿児島側でも空気の振動=空振でガラスが割れるなどの被害が出ました。

新燃岳は2017年と2018年にも噴火し、火口からの溶岩の流出もみられました。現在は噴火警戒レベル1の「活火山であることに留意」となっています。

高千穂河原は当時、噴石や灰などが6センチ積もりました。

2017年の噴火を経験した地元駐在所の元警察官・諏訪俊郎さん(63)。退職後も霧島山に入って、安全の呼びかけを続けているといいます。
(諏訪俊郎さん)「いつ火山活動が活発になるかわからないので、情報を入手して安全に登ってほしい」

一方で、新燃岳の噴火の後、行政が主体となって避難訓練が行われるようになりましたが、コロナの影響もあって、ここ数年は行われておらず、不安の声も聞かれます。

(霧島自治会 南通会長)「行政も含め、みんなが参加した訓練がない」

(霧島市消防団・霧島分団 岩崎学分団長)「コロナが収束すればいいですけど。山も地震もわからない」

新燃岳の現在の状況は?

霧島山の火山活動を研究する鹿児島大学・井村隆介准教授が26日、JNNのヘリコプターで上空から確認しました。

(井村准教授)「今、右下に見えるのが、2018年3月9日から流れ出した溶岩。2011年の噴出物は、2018年の噴火で埋め尽くされている。(火口の)真ん中あたりに穴が開き、噴気が上がっているが、勢いよく噴き出している様子は見当たらない」

しかし、火山活動が落ち着いているわけではないといいます。

(井村准教授)「ただ、黄色く硫黄の結晶が周りの岩石についている。単に水蒸気が出ているわけでなく、地下から火山ガスが供給されているのが分かる」

上空から分かる火山活動は、新燃岳以外でも…。

(井村准教授)「硫黄山の南の火口です。2018年4月に噴火したところだが、今でも盛んに土砂噴出が続いている。ある意味どこで噴火が起きてもおかしくない。霧島の山で新しい火山が生まれても、研究者にとっては想定内だと思う」

新燃岳では2011年や2018年の噴火の際、事前の予測はできず、2011年は住民への避難情報の発表も後手にまわりました。井村准教授は噴火の予測は難しい上、「次の噴火がいつ起きてもおかしくない」とし、日ごろからの備えと警戒を呼びかけます。

(井村准教授)「霧島山全体が2011年の噴火前と同じくらい膨張したまま止まっていて、次の“弾”は込められている。(過去の災害を)忘れないことが次への備えにつながる」

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