桜島 大正噴火から108年 専門家「市街地側でも備えを」
20世紀に国内で起きた最大の火山噴火・桜島大正噴火から1月12日で108年です。専門家は「同規模の噴火は私たちが生きている間に起こり得る」と警鐘を鳴らします。
(京都大学・火山活動研究センター 井口正人教授)「108年の間に、10億立方メートルから20億立方メートルのマグマがすでに蓄えられている。大正噴火級の噴火に匹敵するマグマが姶良カルデラの下にあるということ」
桜島の活動を研究する京都大学の井口正人教授です。
108年前の1月12日、桜島の西側と東側の山腹で噴火が発生。噴出した火山灰や溶岩などの量は、通常の噴火の10万回分に相当するおよそ30億トンとみられます。
この1か月ほど前から桜島が隆起したり、地震が発生するなどの前兆現象がみられたことから、住民の多くは桜島の外に避難していましたが、噴火開始のおよそ8時間後にマグニチュード7.1の地震が発生するなどし、死者・行方不明者は58人に及びました。
(井口教授)「高感度の地盤変動を測る機械があるので、少なくとも群発地震に至るまでのプロセスで、桜島でかなりの異常がでてくるだろう。少なくとも今は、異常が見られる段階には至っていない」
桜島の噴火回数はこの10年は減少傾向にあります。
しかし、100年余りで桜島にマグマを供給している姶良カルデラには、大正噴火のころに匹敵する量のマグマが蓄積されていると考えられ、井口教授は大規模噴火はいずれ起こると話します。
(井口教授)「10年の噴火回数を出しているが、全体で捉えないといけない。最大でも数十年の時間のスケール、我々が生きている間には次の大規模噴火を迎えるであろうと、マグマの蓄積量から考えられる」
鹿児島市では大正噴火を教訓に毎年、桜島の大規模噴火を想定した訓練が行われていて、今年は鹿児島市街地側でも大量の軽石や火山灰を想定した訓練が行われました。
桜島で大正噴火級の噴火が起きた場合、鹿児島市街地では軽石や火山灰が最大で1メートル積もると想定されています。井口教授は、鹿児島市側でもどう備えるべきか考えおいてほしいと話します。
(井口教授)「桜島島内では必ず避難が必要。桜島から離れた場所でも、多量の火山灰、軽石が降ることで生活ができない可能性はある。その時は『避難する』ことを今から意識して欲しい」
いつかは起こりうる大規模噴火。桜島の住民だけでなく、鹿児島市街地の人たち含め、いざという時の備えが求められています。