正常性バイアス
静岡県熱海市での土石流の映像は、土石流の恐ろしさを見せつけました。土砂災害に対しては特に「避難」が重要です。その「避難」の大敵ともいえる「正常性バイアス」についてお伝えします。
この「正常性バイアス」、簡単に言うと「自分は大丈夫」とか「たいしたことないだろう」と、状況を過小評価してしまう心理のことを言います。これ自体は、様々な刺激に過剰に反応して疲弊してしまわないように、心を落ち着けようとする心理で決して悪いものではありません。
ところが、これが災害時に働いてしまうと、避難の大敵になってしまいます。
こちらは、「避難しない理由」の例です。「今まで大丈夫だった」は正常性バイアスの代表的な例です。その他にも「みんなも避難していないから」とか「避難して空振りは無駄だから」といった例があります。
でも、「今まで大丈夫だった」としても、自分の知らない過去にはあったかもしれないし、そもそも災害にまったく同じものはありません。「みんなも避難していなかった」としても、いざ自分に被害が出たときにそれをみんなのせいにはできません。「避難して空振りしたら無駄」と思ったとしても、避難せずに何かあったらもう取り返しがつきません。
避難の大敵「正常性バイアス」にとらわれないためには、「正常性バイアス=被害を軽い方へ考えてしまう心理」が自分にあることを自覚すること。そして、防災マップを日ごろから確認して、災害が起こった時のことをイメージしておくことが大切です。
今回の土石流の映像は「正常性バイアス」を吹き飛ばすほど衝撃的でした。被災地に思いをはせ、しっかり心に焼き付けて備えることが、私たちの責務なのかもしれません。