「世界各地の年越し」
今年も残り10日ほどとなりました。年末に向け お忙しい中ラジオを聴いてくださっている方もいらっしゃると思います。ありがとうございます。大晦日は大掃除をする、家族でゆっくり過ごす、除夜の鐘を聞く、年越し蕎麦を食べる。そして元日はおせちやお雑煮いただく、初詣にいく、初売りにいく…など過ごし方は様々だと思います。世界に目を向けているともっと面白い過ごし方がありました。今回は世界各国の年越しをご紹介します。
スコットランド・アメリカ ~蛍の光を歌う新年~
蛍の光といえば日本では卒業式や閉店のときに流れる曲というイメージがありますが、この曲はもともとスコットランドに古くから伝わる歌で「Auld(オールド) Lang(ラング) Syne(サイン)」、英語では「Old Long Ago」遠い昔という曲です。歌詞は国によって違い、そのためこの曲に対するイメージも少しずつ違います。年越しにスコットランドでは花火を上げ、バグパイプの演奏に合わせ肩組んで歌い、アメリカではニューヨーク・タイムズスクエアのカウントダウンの後などに歌われます。
スペイン・ポルトガル ~12粒のぶどうを食べて幸せを願う~
日本の年越しに食べるものといえば「年越しそば」ですが、スペインでは「年越しぶどう(12粒)」を食べるそうです。大晦日のよる、12粒のぶどうを教会の鐘の音に合わせて食べ、それぞれのぶどうに願いをこめます。「幸運を呼ぶ12粒のぶどう」はそれぞれの月を象徴していて、ぶどうを食べながら次の年の幸運を願います。このときに食べられるのは白ぶどうで、大きさは小粒のもの。鐘は3秒ごとに鳴るので合わせて食べるのは大変なんだそうです。そして、お隣のポルトガルでは干しぶどうを同じように12粒食べます。
デンマーク ~女王のスピーチを聴いて、花火を楽しみ、皿を割り新しい年を占う~
大晦日のよる6時にテレビをつけ、女王のスピーチを家族揃って見ます。また、スピーチで使われる言葉が賭けの対象になることもあります。デンマークの女王はそれだけ人気があるそうです。そして元日の0時が近づく頃には年越しのイベントの行なわれる広場などに行き、打ち上げ花火(年越し=花火、朝から楽しんでいるようです)をあげます。また、大晦日には家族や友人の家の玄関に皿を投げつけるそうです。割れた皿が多ければ多いほど新年に幸運に恵まれるそうです。片づけが大変ですね。
フィリピン ~丸いものを身につけ、お金を撒き、家に福を呼び込む~
フィリピンでは丸いものは、富、幸せの象徴と言われています。そのため、新年に丸いものを身に着けたり、飾ったりすると「お金に困らない。幸せがやってくる」と言われています。そのため、大晦日にはドット柄(水玉模様)の服を着ます。また、ぶどうやオレンジなど丸い果実も食べられています。そして年が明けた瞬間にドアや窓を全開にし、家中にお金を撒きます。これは、ドアや窓を開け、福を呼び込み、そして家庭に金運をもたらすために行われます。なお、お金は家主が撒いて子どもたちが拾い集めます。家の外では花火や爆竹が大晦日夜から鳴り響いています。騒音は悪霊や不運を追い払うと信じられているためだそうです。
ギリシャ ~たまねぎを飾り、ザクロを投げる~
年末年始に玄関の上にたまねぎを飾ります。新年は復活・成長などの日と言われていて、たまねぎは土から掘り出しても葉や根が伸びることから新年の象徴とされています。元日の礼拝に遅れないように寝坊しがちな子どもの頭をたまねぎで叩くこともあるそうです。(痛くないのでしょうか…)そして、ザクロを飾ったり、玄関の床もしくはドアに投げます。ザクロは種がたくさん詰まっていることから幸運と繁栄の象徴とされています。たくさん種が飛び出すほど、その年は健康や幸運に恵まれると言われています。
チリ ~お墓に集まり、お墓で年越し~
チリのタルカという町では、大晦日に親戚で集まるのはお墓だそうです。(チリの本家のお嫁さんはお墓でも大変な思いをするのでしょうか…)愛する人やご先祖さまの近くで一晩過ごすといえばロマンティックな感じもしますね。この日は5000人もの人がお墓に集まるのだそうです。
そのほかにも、アイルランドでは、古くなったパンを家の壁に叩きつけます。お祓いの意味もありますが、新しい年にパンや食べ物が十分にありますようにという願いも込められています。コロンビアでは、空のスーツケースを持って家の周りを全力で一周し、新しい年もたくさん旅行できるように願う。スイスでは、床に幸せの象徴アイスクリームを落とし、溢れるほどの幸運や平和を願う。エクアドルではかかしのような人形や写真を前の年の悪いことに見立てて焼き払うそうです。どの行事も次の年がいい一年でありますようにという願いが込められています。