画家で絵本作家のミロコマチコさんです。奄美の自然に魅せられて東京から移住したミロコさんの奄美への思いとは。
奄美大島の龍郷町で行われたワークショップ。大きなビニールシートに、奄美の夜を描きます。
講師を務めるのは、画家であり絵本作家でもある、ミロコマチコさん。これまでに様々な絵本賞や文芸賞を受賞。海外からも高い評価を受けているクリエイターです。躍動感あふれるタッチで、生き物を伸びやかに描きます。
東京を拠点に活動していましたが、取材で訪れた奄美大島を気に入り、移り住みました。
(ミロコさん)「自然が豊かなのはもちろんですけど、島の人たちの暮らし方がすごく面白くて。この島で絵を描きたいなと思って」
アトリエを構えたのは、海と山に囲まれた小さな集落です。最初は、島での暮らしに少し戸惑いもあったそうです。
(ミロコさん) 「初めなんかこう、人が人をとても信用してるっていうのは、東京から来ると慣れなくて。警戒心なく困ってたら助けてくれたり、はい、野菜!とか言って、くれたりするんですよ。あっちで畑やってるからいつでもとって食べなとか言って」
こんなおすそ分けも…
(ミロコさん) 「バナナももらいました。あっちに植わってるのを、裏のおばちゃんが持っていっていいよーって言って。ここに植えたら、どんどん増えて」
(ミロコさん) 「(奄美の人は)自然を読み取って抗うのではなく、そっちに寄り添って生きているっていうのが一番。」
(ミロコさん) 「台風とかすごい強いじゃないですか。他の地域とかは台風に耐えれるようにお家を作ったりすると思うんですけど、奄美の人は耐えない。そんなかなうもんじゃないから、屋根は壊れるもん、みたいな感じで。みんな自分でそうやって直したり助け合ったりしてるのが、すごくなんか、人として強いなと思って。」
(ミロコさん) 「自然が身近に生きてるから、自然をたくさん感じ取っていて。目に見えないものがたくさん見えてるんですよね。」
(ミロコさん) 「なんか絵を描く上でそれってすごく大事な感覚だなと思って。私もその感覚を知りたい、手に入れたい。もしくは思い出したい、みたいな気持ちで」
(ミロコさん) 「これは途中ですけど、チヂンの生き物。音の生き物ですね」
「チヂン」とは、奄美の祭りなどに欠かせない太鼓のこと。
(ミロコさん) 「人が集まると、ちょっと踊ろうかってなって太鼓叩いて、三味線弾いて。みんな顔がキラキラって輝いて体が動き出してしまう、あの精神っていうのを私は身近になかったので、すごく感動していて」
奄美に来てから、作風にも変化が現れたといいます。
(ミロコさん) 「(作風は)だいぶ変わりました。(奄美に)来るまでは割と実際に生きている動物を描くことが多くて。それは身近だからということではなくて、遠いから描いていたっていう感じがあって。でもなんか、奄美に引っ越してきたら、自然から感じる気配の生き物みたいなのを描くようになって。」
この日は、龍郷町のこども図書館でワークショップを行います。テーマは…
想像した生き物を、自由に描きます。
(ミロコさん) 「ネコも奇妙なのがいっぱい登場してる。面白い。なんだろう。恐竜っぽくもあるし。」
子どもたちの心のなかに生きるモノノケが姿を現しました。
ミロコマチコさん、今、構想していることがあります。
(ミロコさん) 「一応イメージは、こっから下は海で、こっから上は空なんですけど…奄美で生きてきて、感じたことを絵本にしたい。構想を練りながら、島はなんか楽しいことがいっぱいありすぎて、なかなか進まないんですけど」
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