奄美を音楽で盛り上げようと様々な活動を続ける麓憲吾さんです。
奄美出身のアーティストたちによる「懐かしい未来へ」。「唄島プロジェクト」という取り組みの一環で制作された楽曲です。
(麓憲吾さん)「世界自然登録を見据えて、私たちが守るもの、そして次世代に語り継ぐものを、楽曲を通じて伝えられればなあということで…」
プロジェクトの発起人の一人、麓憲吾さん。奄美市を拠点にするコミュニティラジオ「あまみエフエム」の代表で、「ASIVI」というライブハウスのオーナーも務めます。音楽で島を盛り上げようと、これまで様々なイベントを手がけてきました。代表的な企画が、「夜ネヤ、島ンチュ、リスペクチュ」。「今宵は島の人を尊敬しよう」という趣旨のライブイベントで、2001年から続けています。
(麓憲吾さん)「なぜそもそも私たちが地元の物事を誇れないんだろうというところがテーマで。離島・地方の劣等感もあったんですけれども、足元のことをもう一回見つめ直してちゃんと目を凝らしてみると、かっこいもの、楽しいもの、面白いものがたくさんあるなということで。
2003年の奄美パークで開催した『夜ネヤシマンチュ』は、奄美群島の青年団が200名ほどボランティアで集まってくれて、ちゃんと島の人たちで島の物事を扱って、あれだけ大きくたくさんの島んちゅで集えて、島を感じられるということを経験した時に、自分たちで自立というか色んなものを作っていけるんだなということの確信は得ることはできましたよね」
(麓憲吾さん)「音楽ってすごく人の思いを繋ぐ上でとてもいいメディアって言っていいのかわかりませんけども、島は本当にお客さんも歌い手も境がないというか、歌の原点みたいなものがまだ残っているんじゃないかなと思っていて」
奄美大島は、独特な音楽文化が受け継がれてきた島です。別名「唄の島」。例えば、民謡の「シマ唄」は、集落ごとに唄があります。祝いの場で、別れの時に…この島では、人が集まる時に歌は欠かせません。
(麓憲吾さん)「なぜ『唄島』かというところを考えた時に、そこに暮らす人々が共感を求めてる、共有だったり共感を求める気質が高いんじゃないかな。共有・共感するツールとして、歌がこれだけたくさん生まれ出てるんじゃないかなあ。人々が島で暮らして感じたことを歌で表現して、またそれに共感する人たちがいるっていう構図というのは、すごくこうやっぱり、豊かな空間だな、場だな、時間だなという風に思いますね」
そんな唄の島で始まったのが、「唄島プロジェクト」。世界自然遺産の登録を見据え、奄美に注目が集まる今こそ、音楽で島の人たちの心を一つにしようという取り組みです。
(麓憲吾さん)「自然や文化とどう向き合っていくのか、そして何を守り繋いでいくのかっていうことは、もっともっと、島んちゅのみんなで語り合っていかないといけないんじゃないかなあ。そういった事を考えるきっかけになればということで、島の唄者やアーティストたちと一緒に一曲の歌を作って」
麓さんの呼びかけで、奄美出身のアーティストたちがジャンルの垣根を越えて集まりました。作詞・作曲からレコーディングまですべて島で行うという、この一大プロジェクトから、「懐かしい未来へ」は生まれました。
(麓憲吾さん)「歌の力って日常的にもあるんじゃないかなーと。昔から島の人たちのDNAに、音に響く感覚みたいなもの、歌に響く感覚みたいなものが宿ってる気がして。歌を通してみんなに伝えていくことを行いながら、さらには未来のことを考えたいという。島で暮らす心地良さとか豊かさみたいなものをみんなで感じながら、ぶれない軸みたいなものをみんなで探っていきたいなーち思いますね」