「目標」の再設定も大切 大会中止が相次ぐ中で

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、鹿児島の高校生の大会にも影響が出ています。
8月に北関東を中心に全国各地で行われる高校生のスポーツの祭典「全国高校総体(インターハイ)」も、4月26日に臨時理事会が開かれ、大会開催の可否を判断することになっています。
また、全国大会の予選も兼ねる「県大会」についても、県内にも緊急事態宣言が出されたことや、公共体育施設の使用制限が増えてきていることから、4月17日に「事前の計画通りの開催が困難な競技がある」と判断し、日程変更などの検討に入っており、その後、開催可否について今月30日の臨時会議で決定する予定です。

高校生アスリートにとっては「目標」とする大会の開催が不透明で、さらに学校休校で部活動も休止になるなど、気持ちが落ち着かない春を迎えています。こんな時、どのように「目標」を設定すればいいのか?この状況をどう乗り切ればよいのか?
鹿屋体育大学の幾留沙智先生に聞きました。

スポーツ心理学を専門としている幾留先生は、高校生・Jr.アスリートが、いま感じている「不安」は自然な事だと話します。

「あまり溜め込まないのが大切です。こういう状況ですから、みなさん同じように不安に感じているところもあるでしょうし、せっかくなので、チームメイトとか、家族とか、たくさんの方に自分の気持ちを伝えて、共有していくことも大事なことだと思います。」

「不安」を生み出している一番の原因は、「目標」としてきた大会が開催されるかどうか分からなくなっていることです。

「『この後どうなるんだろう』とか、『いつになったら練習できるんだろう』とか、目の前のこと以外に考えてしまうことがたくさん出てくると、集中力を妨げる原因になってきますので…いま、自分に、この状況で出来る練習が何か?というのを考えて、それに集中していくことが大事だと思います。」

また「目標」が定まらないことでのモチベーションの低下も懸念されていますが…

「試合が無くなったからと言って、全ての目標が無くなるわけではないと思うんです。多くの場合は、試合の成績とか大会の結果を目標に立てることが多いと思うのですが、試合に関する目標は立てづらいという状況…これはもう事実ですので、「試合」という言葉を使わずに、自分の目標を改めて設定していく必要があるかなと感じます。」

「スポーツを始めた時って、『あんな選手になりたい』『これが出来るようになりたい』とか、具体的なパフォーマンスについて、あるいはスキルについての目標が沢山あったと思うんです。それを、いま一度思い出して頂いて、『自分がどんなことを出来るようになりたい』とか『どんな選手になりたい』ということを目標にしていくのがいいと思います。」

(スポーツ心理学が専門の鹿屋体育大学 幾留沙智先生)

そして、不安に思っているのは選手だけではなく、保護者・指導者も同じです。

「いまは、選手のみなさん、お子さんがどんな風に感じているのか?というのを、しっかり話を聞いてあげて頂きたいと思います。どんな部分に対して、どれ位、どの様に不安に感じているのかというのは人それぞれ違うので、そのような事をしっかり聞いてあげるという姿勢が大切だと思います。」

「目標」が立てづらく、練習も思うように出来ないという不安の中でも「挑戦」して欲しいと、幾留先生は話します。

「チームで集まって練習ができないとか色々と困っている状況だと思うのですが、今しかできないことも逆にあると思いますので、じっくり、家の中で出来ることを考えて、その中の一つとして、昔のことを思い出して、初心に帰って目標設定することも加えてもらえればと思います。」

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