薩摩の教え

示現流 その2

明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。今週は、郷中教育の中の武術についてご紹介しています。

昨日は、現在も鹿児島で受け継がれている示現流じげんりゅうの起源についてお話ししました。およそ430年前、鹿児島出身の若者と京都の僧侶との出会いから、のちに維新の原動力を生んだとも言える示現流が誕生したという逸話に、歴史の面白さを感じますね。

 

さて、京都で剣の達人である僧侶に弟子入りし、天真正自顕流てんしんしょうじげんりゅうを学んだ東郷重位とうごうちゅういは、27歳の時、免許皆伝となります。故郷・鹿児島に帰ってからは、自宅の立ち木を相手に稽古に励み、剣の奥義を極め、独特の剣法を編み出します。他流試合を挑む者があとを絶ちませんでしたが、だれ一人、重位を破ることはできませんでした。

そして、慶長9年、第18代島津家当主・家久公の命により、待捨流たいしゃりゅう師範、東新之丞ひがし しんのじょうと立ち合い、師範を破り、藩の剣術師範役として起用されました。その後、家久公の計らいで重位の剣法は「示現流じげんりゅう」と命名され、代々の藩主に重用され、薩摩藩士の養成に大きな役割を果たすこととなりました。

重位は、自らを律することには厳格でしたが、他者に対しては大変礼儀正しく、門弟たちが稽古を終えて帰る時は、つねに玄関まで見送りに出るという人柄であったと伝えられています。

 

明日も、示現流についてお話ししたいと思います。

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