明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学ぶこの番組。今日も、昨日に引き続き、鹿児島市薬師2丁目に本拠地を置く自彊学舎の活動をお伝えします。
郷中教育の精神を継承する学舎ができたのは、明治時代のこと。西南戦争の激しい戦いによって荒んでしまった郷土の精神を取り戻すことを目指して、各地に作られました。
昭和に入ると、太平洋戦争の影響によって一時活動は停滞しましたが、戦後は徐々に復活。社会情勢や教育環境の変化とともに活動スタイルを変えながら継承され、現在、県内でおよそ10の学舎がそれぞれ独自の活動を続けています。以前は、学舎同士は競い合うライバルとされていましたが、今では学舎間の親睦・交流を図る動きもあります。
現在、自彊学舎の活動に参加しているのは職業、出身地もさまざまな幅広い年代の方。昔は男子に限られていましたが、今は女子の参加も当たり前になっています。
10数年前、結婚を機に鹿児島市へ移り住んだ秋田県出身の保坂弘幸さんは、自顕流への興味がきっかけとなって自彊学舎に通うようになりました。
今では、2人の中学生の息子さんとともに毎週自顕流の稽古に汗を流し、年間行事にも親子で参加しています。
保坂さんは、「自彊学舎の良さは、どんな人でも受け入れてくれる土壌があるところ」と言われます。最初は鹿児島弁の理解に苦労したそうですが、自然と溶け込めたそうです。
「見ず知らずのおにいさんやおじさんと一つの目標に向かって活動するという経験は他では得られない。町内会や学校とはひと味違う活動の場は、子どもの成長にも良かった」と、その魅力を語られました。
自彊学舎の方々は、野太刀自顕流、薩摩琵琶などに興味のある方の参加を受け入れています。あたたかい人の輪の中で、生きた薩摩の伝統文化に触れてみてはいかがでしょう。
明日も、現代に継承される郷中教育についてお話しします。