明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。今月から、西郷さんが遺した教え、「西郷南洲遺訓」からご紹介しています。
今日は、第6条「一芸に秀でた人材の活用法」についてです。
すべてに優れた人物を求めて小人を排除しすぎると、かえって問題を引き起こしてしまう。その理由は、この世が始まって以来、世の中の十人のうち七、八人までは普通の人なのであるから、よくこのような凡人の長所を取り入れ、それぞれの役割に用い、その優れたところや、才能、特技を、十分発揮させることが重要である。
藤田東湖 先生は、このように仰られた。
「小人ほど、細かな特技、一芸に秀でているところがあって、仕事をさせるに便利であるから、その器量に応じて仕事をさせなければならない。
しかし、だからといって、その小人を上司にして重要な職務に就かせると、
組織や国を滅ぼしてしまうようなことになりかねないから、
決して上に立たせてはならないものである」・・・と。
まさに適材適所ということですね。君子と小人というのは儒学の言葉ですので、君子を「教養のある人物」、小人を「一般人」と考えれば分かりやすいかもしれません。
途中登場する「藤田東湖」というのは水戸藩士で、西郷隆盛が江戸詰めで島津斉彬に仕えていたころ交流を持ち、教えを受けていました。安政の大地震で藤田東湖は亡くなりますが、西郷さんはその教えを生涯忘れず明治維新後もこの第6条にあるように言葉を残しています。
人材を採用する上で、優れた人物だけを求めると問題が起こりうる。
教養のある人が要職につき、多くを占める一般人については、一人一人の力にあった職、長所を活かした役割を任せることが大事だと説明しています。