ふるさと考古歴史館で開催「蔵出し収蔵品展」

今日は、現在開催中、2018年2月4日まで鹿児島市下福元町の、ふるさと考古歴史館で開催される「蔵出し収蔵品展」について、
学芸員の中村 友昭(ナカムラ トモアキ)さんにお話を伺いました。

ふるさと考古歴史館で開催「蔵出し収蔵品展」

ふるさと考古歴史館では、鹿児島市内の遺跡の発掘調査で発見された土器や石器などの出土品の他に、市民の方々から寄贈いただいた資料も収蔵している。
これらは、民俗資料や歴史資料などでその種類は多岐に渡るのですが、共通しているのは、寄贈者の方々がこれまで大事に使用し、保管してきたものであるということ。

今回の「蔵出し収蔵品展」では、これらの寄贈品286点を、玩具や人形、生活用具、といった種類ごとに初めて一斉に展示する企画展となっています。


 

玩具の展示内容とは?

ふるさと考古歴史館で開催「蔵出し収蔵品展」

柔らかな表情の土人形

鹿児島独特の玩具の中に、鹿児島県霧島市隼人町の鹿児島神宮に由来する伝統的な玩具『鯛車』があります。海幸山幸の神話に基づくもので、鮮やかな赤・黄色で彩られた木彫りの鯛に四個の車輪がつけられています。今回は、大小様々なサイズの「鯛車」を展示。

また、猿の顔を竹のバネで弾く「はじき猿」や、セキレイという名の鳥を模したカラクリ玩具である「シタタキノタロジョ」、といった鹿児島神宮の伝統的玩具を展示。

一部については、実際に手で触れて動かせるように体験コーナーを設けたので、小さいお子さんにも大好評となっています。


 

人形の展示内容とは?

ふるさと考古歴史館で開催「蔵出し収蔵品展」

糸雛

「糸雛」と呼ばれる紙製の人形を数点展示。これは、半分に割った竹の棒に、鮮やかな色や絵が描かれた和紙を貼り付けることで着物を表現した、鹿児島独特の雛人形になります。注目すべきは、和紙の部分の裏地に新聞紙が利用されているのですが、そのほとんどが明治時代に発行されたものになります。

これだけ古い「糸雛」は県内でもほとんどなく貴重な資料といえます。
また、和紙で作られた「鯉のぼり」を壁にかけて展示しているのですが、大変珍しいもので昭和初期のものとされます。


 

その他、生活用具の展示内容とは?

ふるさと考古歴史館で開催「蔵出し収蔵品展」

薩摩発祥の漁具・イカエギ

薩摩発祥の漁具・イカエギの展示もあります。ミズイカを釣る際に使われた疑似餌を「イカエギ」といいます。
鹿児島弁ではイカエドと言い、江戸時代の終わり頃から使用され始め、明治時代に大流行し、昭和前半期頃まで使われた鹿児島発祥の疑似餌です。

木材をエビの形に加工し、お尻につけた真鍮のカギでイカをとらえます。お腹には“おもり”として、江戸時代のお金である寛永通宝が数枚挟み込まれています。

今回展示してある「イカエギ」には、火であぶってつけられた独特の模様やエビそっくりの曲線美など、随所に匠の技を見ることができます。イカをとるための漁具としてだけでなく、美術工芸品としての側面も併せ持つ「イカエギ」の魅力をぜひご覧いただきたいと思います。


この他にも、今とは“珠”の数が違う「五珠そろばん」や、「火鉢」、「寿司桶」、昭和初期の「手回しミシン」など、昔の家には普通にあった懐かしい道具も展示してあります。

この機会にぜひ「大切にされてきた貯蔵品」から、昔の生活にふれてみませんか?

ふるさと考古歴史館

開館時間 午前9時から午後5時
休館日 月曜日、月曜日が祝日の場合はその翌平日がお休み
入館料 冬季企画展「蔵出し収蔵品展」は無料
2017年4月にリニューアルオープンした常設展示室は有料で、高校生以上は300円、小・中学生は150円
お問い合わせ 099-266-0696
HP  http://www.k-kb.or.jp/koukokan/
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