海運業の誇りと港の風景
吉冨秀介さんは、鹿児島市住吉町にある中川運輸の代表取締役社長。昭和19年に、祖父が設立した会社の三代目だ。
創業者の祖父は、もともとはカツオの一本釣り漁師だった。
「配船」という、船を手配する仕事に面白さを覚え、やがて貨客船を出すようになった。
船でしか行けない島々に、生活物資や人そのものを運ぶ海運業。島の暮らしを支えるという使命感を胸に、情熱を持って取り組んだ。
今年、創業73年。この間、鹿児島港周辺の景色や仕事の内容は変わった。しかし、港に到着するの荷物を保管する倉庫として使われていた石倉は、今でも面影を残している。
人々の生活を支えてきた歴史。そして使命感。その誇りは、吉冨さんへと受け継がれてきた。
かつての船着き場だった、ドルフィンポート。ウォーターフロントとして整備され、いまでは散歩やイベント、食事などを楽しむ憩いの場となり、世界各国からの観光客も訪れる。
ここから望む桜島と錦江湾の景色はとても美しい。
「時間によって、七色に変化する風景は、世界一きれいだと思う」と吉冨さん。
吉冨さんのこれからの夢・・・それは、人やものを運ぶ仕事を通して、世界自然遺産登録に向け頑張る奄美や、交流人口増加を目指す十島村・三島村の活性化のお手伝いをすること。
中川運輸が手掛ける、島々を巡る体験ツアーは、いつも完売するほどの人気。島の伝統芸能や祭りは、国内外から注目をされている。
地域がはぐくんできた自然や文化の魅力を、多くの人たちに知ってもらうため、吉冨さんの熱い思いを乗せた船は、広い海を駆け巡る。
10月17日 午前10時40分ごろ放送 「たんぽぽ倶楽部 ~海童が行く」より