• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

メイド姿で地域を盛り上げ 台湾女性の思い

新型コロナウイルスの影響で職を失ったものの、趣味を生かして地域を盛り上げようと活動する台湾出身の女性です。上村記者の取材です。


メイド服に身を包む女性たち。県内の観光地の魅力を、SNSなどで発信する「薩摩おごじょメイド」です。
3年前に結成され、霧島市のJR肥薩線・嘉例川駅での駅弁販売の手伝いやおもてなしを中心に、県内およそ120か所をまわりました。活動はボランティアです。

(霧島市観光協会 村上亜矢さん)「こうやってメイドさんが来てくださることは、私達にとってもすごく刺激になりました。またぜひご参加いただければと思います」


メンバーのひとり小登音さん。本名ハン・オクジョさんは台湾出身の23歳です。

日本のアニメが大好きなハンさん。台湾の大学で日本語を学び、就労ビザを取得して去年9月に鹿児島にやってきました。
霧島市内のホテルに就職し、休みの日には趣味を生かしたいと、「薩摩おごじょメイド」として活動してきました。

(ハン・オクジョさん)「最初は、アニメ文化から日本をだんだん知り始めて、メイド服を着てかわいい女性になりたいと思った」

大好きな日本で、メイド姿で活動する夢がかなったハンさん。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、働いていたホテルの宿泊客は減少。寮生活だったハンさんは、今年3月、職場と住む場所の両方を失いました。

一時は台湾に帰ることを考えたものの、就労ビザのあるうちは親しんだ鹿児島で生活したいという気持ちが強かったハンさん。霧島市から伊佐市に引っ越し、7月から飲食店で住み込みのアルバイトをして、生活費を稼いでいます。

(ハン・オクジョさん)「(伊佐市は)やはりお米がおいしくて、星空がきれいです。知人から、あるいは伊佐の地域のブログから、いろいろな素敵な店を見つけて、そして自分の足で訪れるのが生活の楽しみのひとつになります」


ハンさんの1日は、店の掃除から始まります。

そして、ランチの開店時間が近づくとあの衣装に着替えます。

メイド姿で、定食を運ぶハンさん。少し不思議な光景ですが、お客の反応は上々です。

「衣装が本格的でかわいかった」「かわいいね」「珍しい」「素晴らしい接客だったと思います」

店では、ハンさん手作りの台湾スイーツ「豆花」が販売され、お客との話題作りにもなっています。

(さつまや食堂 前田忠亮店主)「新しい”風”が入ることで、話題性とか増えて、会話とかも楽しいし面白いと思います。SNSに投稿してまた見に来るとか、来店にもつながっているのですごく助かります」


ハンさんは新型コロナの影響も前向きにとらえています。


(ハン・オクジョさん)「まわりに優しい人がいてコロナだからこそ、普段より貴重な経験を得ることができて、これから台湾に帰っても、日本に残っても、自分の得意な分野である日中翻訳のスキルを生かしたい」

いつかは日本と台湾の架け橋になるような仕事をしたいと話すハンさん。きょうも大好きなメイド服を着て店に立ちます。