• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

自宅にいながら観光 オンラインバスツアー

コロナ禍で旅行を自粛する動きが広がる中、自宅にいながら観光できる取り組みを南九州市の旅行会社が行いました。どんな取り組みなのか濵田レポーターの取材です。


(村方直己さん)「森邸です。ここを紹介する(理由)のは、島津のお殿様で知覧を治めていた方が、一番ここに遊びに来ていたからです。(森さんと)仲が良かったんです」

観光ガイドをしているのは南九州市の旅行会社南薩観光の村方直己さんです。村方さんが語りかけているのはスマートフォン。観光名所を案内をしていますが、村方さんのまわりには誰もいません。
案内している相手は…。

インターネットを使った会議システム「Zoom」を使って東京と石川の参加者4人が自宅から「オンライン」で村方さんの観光ツアーに参加しているんです。

新型コロナの影響で旅行者が激減している中、香川県のバス会社と南薩観光が旅行気分を味わって貰いたいと行った「オンラインバスツアー」。定員は15人で価格は5980円です。


(南薩観光 菊永正三社長)「きょうは初めてのオンラインバスツアー第1弾。新たなビジネスのチャンスと機会創出になる」

コロナ禍で、新たな需要を掘り起こそうと始めたオンラインでのバスツアー。オンラインで、まず地域の魅力を発信し、新型コロナの収束後、実際に旅行で来てもらいたいと期待しています。

(濵田レポーター)「きょうは知覧への旅ということで、その道中も楽しんでもらおうと動画を通じて、みなさんにバスに乗っているような感覚で楽しんでもらっています」

今回のツアーは知覧の武家屋敷と知覧茶、知覧平和公園をめぐる1時間半のプラン。訪れる観光地やバスの道中は事前に撮影し、動画と、現地を中継でつないで案内していきます。

(村方さん)「陸軍特別攻撃隊という部隊が知覧にあって、太平洋戦争の時に、いわゆる特攻と呼ばれる作戦でアメリカ軍と戦っていたんです」

知覧平和公園では特攻隊の歴史について紹介し、参加者全員で慰霊の献杯を行いました。また、特産品の茶農家に参加してもらい、茶のおいしい入れ方について中継で説明してもらいました。

参加者には、事前に現地の特産品などが送られていて、ガイドと同じタイミングで試食したり、オンラインで現地のお土産を購入することもできます。
参加者は自宅にいながら南九州市の観光を楽しみました。

(東京から参加)
「楽しかったです。知覧ってすごく良い所なんだなとしみじみ思ったし、本当に行ってみたいなと思いました。あとお茶がめちゃくちゃおいしいんですよね」
「知覧の町とか武家屋敷とか静かな風景を流してもらいたかったかな。もう少し映像を重視して作っていくとこれはすごく良いと思った」

(村方直己さん)「すごく魅力的な商品だなと思いました。お客さんがそこにいるということを思うと、通常の旅行のようにですね、自分の伝えたい部分をオンラインを通じてでも伝えきれたのではないかなと。」

通信環境さえ整えば全国どこからでも参加できるオンラインツアーは、厳しい経営環境が続く旅行業界にとって新たなビジネスチャンスととらえています。

(菊永正三社長)「今後はオンラインとリアルと両方を併用しながらやっていくのもおもしろいかなと。今どん底ですから、チャンスしかないですもんね。ニーズとトレンドが変わってくると思うので、それにできるだけ追いつくように頑張っていこうと思う」

南薩観光が行うオンラインバスツアーは今月あと4回行われる予定で、すでにほぼ満席。今後は、他の自治体にも呼びかけてレパートリーを広げていきたいと意気込んでいます。