旅行会社が県民向けの新ツアー開発
霧島市の薩摩切子の工房に入ってきた黒の小さなバス。
乗っていたのはモニターツアーの参加者です。
前日から阿久根市などで自然の中のカフェや旅館に宿泊し、この日は、霧島市内を巡りました。
参加者がまず体験したのは鹿児島県の伝統的工芸品、薩摩切子のカットです。
美の匠ガラス工房弟子丸 切子師 弟子丸努さん
「作る楽しさや難しさとか体験していただいて、なんで値段が高いの?というのを実感してもらえたらと」
このツアーを企画したのは南九州市の旅行会社 南薩観光です。
新型コロナウイルスの影響で大型バスを利用する中国や韓国、台湾など海外からのツアーをはじめ県外も含めて予約が9割減少しています。
その状況だからこそ上質な鹿児島の旅を県民に感じてもらい、新たな鹿児島を発見する機会につなげたいと企画しました。
ツアーに使用されているのは日本に1台しかないというラグジュアリーバス「リュクシーズ」です。
定員は8人と少なく、革張りのビジネスシート。主に富裕層のツアーで使用されています。
今回のモニターツアーでも新型コロナ対策として消毒や乗客と運転手にマスクの着用を呼びかけて行われ、先月、鹿児島市内と南薩、霧島、北薩、大隅方面の5つのコースに分けて、日帰りと1泊2日で鹿児島で「高付加価値」な体験と旅を楽しみました。
南薩観光ではこのツアーを通じて、同じように来場者が減少している観光施設の力にもなりたいという思いもあります。
霧島市福山町の特産品、黒酢を使ったこのレストラン。桜島や錦江湾の景色を楽しめる個室があるのが特徴で、ツアーでは個室で特別ランチメニューを提供します。
桷志田福山黒酢 津曲晋作専務
「うちもキャンセルがすごくたくさん来ていて、やはりバスのお客さんに関してはほとんどゼロに近い感じ。地元、地場のお客さんに改めて福山の自然を感じながら食事をしていただけるというのにはすごくいい機会を設けたのかなと思います」
南薩観光 菊永正三社長
「ピンチをいかにチャンスにつなげるか、県民の方々にも県内の素晴らしいところを新たに気づいていただくことを考えております」
ツアーはきょうから南薩観光のホームページで発売を始めました。
南薩観光では地元にいながら非日常を体験できる時間を提供し、新型コロナが収束した後は県外や海外の顧客にも広げていきたいとしています。