インフラ化したコンビニ

今では、私たちの生活に欠かせないコンビニエンスストアですが平成は、コンビニが拡大し、小売業界の勢力地図が大きく変わった時代でもありました。
平成3年はおよそ50店舗でしたが先月末現在では669店舗。27年間で13倍以上に増えました。今では市民生活のインフラとなっているコンビニが増えた背景や、競争激化の中、どう変わってきたのかなど納記者の報告です。


県内では初めてとなるコンビニ、SPARが鹿児島市に登場したのは36年前、昭和57年でした。

24時間、いつでも開いているコンビニは鹿児島でも徐々に増えていき、平成元年にはローソン、その4年後には、ファミリーマートと全国チェーンの大手が出店しました。

そして、大きなインパクトとなったのが平成23年。業界最大手セブン-イレブンの進出です。

セブンイレブンが急拡大するにつれて競争が激しくなり、中堅チェーンのココストア、エブリワンは姿を消してファミリーマートに、平成25年にはサンクスがローソンに鞍替え。鹿児島でも業界の再編が進みました。

現在は、ファミリーマートが280店舗、ローソンが195店舗、セブン-イレブンが194店舗と主にこの大手3社に集約されています。

鹿児島市の天文館地区では、半径150メートルに、8店舗が集中するなど、互いにしのぎをけずっています。
近年は競争激化に耐え切れず閉店するコンビニもでてきていますが専門家は、地方ではまだ出店のニーズがあると見ています。

(九州経済研究所・福留一郎部長)「過密な部分も一部あったりするけど、ただ地方においては、今からも新規出店があり得る可能性は十分あると思う。ただ一方では、競争も激しいので、新規出店がありながら、廃業するところも出てきて、そういったところが激しい動きが当分続くのではないかと見ている」


コンビニが拡大した理由のひとつが平成に進んだ高齢化や核家族化です。
大型店やスーパーがない地方などに暮らしながら車を持たないなど日常の買い物が困難な高齢者ら、いわゆる『買い物弱者』は、九州経済研究所の推計で現在、県内におよそ15万人。県内の人口のおよそ9パーセントです。
離れた店まで買い物に行けない人たちは身近なコンビニで買い物をすませる人が増えきているといいます。

(福留一郎部長)「日常的な買い物に困る人が増えてくる。地方においては特に顕著。そういう方々にとって、コンビニはありがたい存在。コンビニが逆に、大型の小売店の客を少しずつ奪っていった状況」


このような変化に対応した地方のコンビニオーナーがいます。
霧島市牧園町の篠原康博さんです。篠原さんの家族は、昭和24年から牧園町で「はとや」という小さな百貨店を営んできました。

はとやは長年、地域で親しまれてきましたが、周辺に大型スーパーができるなどして客が減り、篠原さんは22年前の平成8年はとやのあとにファミリーマートをオープンさせました。

地元、牧園町の65歳以上の高齢者の割合は現在、44.75パーセントと高く、お年寄りの送迎など、地域に寄り添ったサービスに取り組んでいます。

(常連の客)「気軽に寄れるというか、(店が)ないところにコンビニがあると、やっぱり助かる。商店がここら辺にないので」

人々のライフスタイルの変化もあり、24時間営業のコンビニが地方でも定着する中、篠原さんは現在、霧島市と姶良市であわせて10店舗を経営します。

(篠原康博オーナー)「人口減少、高齢化というのは、ここ牧園町でも深刻な問題になっているが、客がここの店を心地よくみなさんで使ってもらえるような店舗運営をして、取り組んでいきたいと思う」


県内の人口に占める高齢者の割合は平成2年が、16.6パーセントでしたが平成29年には30.8パーセントにまで高まりました。
業界最大手のセブン-イレブンも7年前、鹿児島に進出した際、少子高齢化や核家族の増加はコンビニへの追い風になると予測していました。

(セブン-イレブン・古屋一樹社長※当時、副社長)「やはり少子高齢化という問題で、お年寄りも増えてくる、また一人世帯、二人世帯が増えてくる。この業態というのは、今こそ世の中に要求されている」


セブン-イレブンは近年、惣菜や弁当などの宅配事業に力を入れています。
(宅配先での店長)「こんにちはー、お世話になります。暑いですねー、きょうは」
(利用者)「私は一人暮らしで、やっぱり不自由しているんで、栄養面を考えてやってもらっているから、非常に助かっています」

高齢者の安否確認にもつながり、利用者は年々、増えてきています。
(利用者)「お願いしているんです。もし私が倒れでもしたら、家族に連絡してくださいと」

(セブン-イレブン姶良バイパス店・倉留雄太店長)「高齢化だったり、世帯の減少だったり、いろんな状況の変化によって、コンビニのあるべき姿は変わってくるのかなと思う」

24時間、店で物を売るだけではなく様々なサービスを広げ、市民生活に欠かせない存在となったコンビニ。
これからの時代の変化、ニーズの変化にはどう対応し進化していくのでしょうか。