• きばっちょいもす
  • 恒例のシリーズ「きばっちょいもす」では、元気なお年寄りを紹介します。

80代仲良し夫婦が作るハチミツカステラ ミツバチから飼う愛情の品

日置市で名物のお菓子を作り続ける80代の仲良し夫婦です。

(優さん)「1年でも長く作りたい。お菓子を作らなくなったら、私はだめになってしまうから」

日置市東市来町養母地区にある楠菓子店。今年で創業66年になります。菓子職人の楠優さん、84歳。妻の父親が営んでいた菓子店を、30歳のときに継ぎました。

(優さん)「上手になったかは分からないけれど、とにかく一生懸命やってきて今日にいたる」

創業当時からの看板メニュー、養母地区の愛称から名付られた「養母まんじゅう」は、しろあんに卵を加えた黄身あんと栗を包んだ素朴で優しい味わいが人気です。

(優さん)「年間3〜4万個作るから、親指が曲がっている」

50年間まんじゅうを作り続けた、職人の手です。

そばで支えるのは、妻のミヨ子さん、83歳。仕上げや袋詰めが担当です。

(ミヨ子さん)「あんこを包む人がいても、まんじゅうを包む人がいないとね」

(優さん)「これだけは彼女がいないとできない、ひとりじゃできない」

10代のころに出会ったふたり。ミヨ子さんの前向きで明るい姿に惹かれ結婚し、夫婦二人三脚でお店を守ってきました。養母まんじゅうは地元の物産館でも売っていて、1日100個売れることもあります。

(客)「養母まんじゅうを注文にきた。県外にも送っている。おいしいですよね、どこにも負けない味で」
(優さん)「ありがとう」

お店が一段落すると…。

(優さん)「お次はハチ採り」
(ミヨ子さん)「ハチ採りよ今度は。養母まんじゅうが済んだら」

調理服から作業着姿になった優さん。店の近くの畑には、小さな木の箱が。

二ホンミツバチの巣箱です。20年前、友人からミツバチをもらったことをきっかけに、養蜂を始めました。

(優さん)「何回か失敗してようやく採れるようになった。どれぐらいミツが入っているだろう。今が一番良い、わくわく感がある」

これまで何度も刺されましたが、ミツを採る時間が、何よりの楽しみです。

(優さん)「ミツバチを追っかけるのが楽しみ。ああいうのが元気の源。刺されるのは仕方がない。ははは」

この日は、3リットルのハチミツが採れました。自慢のハチミツは、お菓子作りにも。卵や小麦粉などを入れた生地にミツをいれ、かき混ぜます。

(優さん)「ハチミツをいっぱい入れないと、やっぱり味が違う」

低温でじっくり焼くこと、およそ1時間。

(優さん)「まあまあじゃないの」

鮮やかな黄色がまぶしいカステラが焼きあがりました。一番のファンは…。

(ミヨ子さん)「おいしいよね。さっきも舐めた。カステラのカスを口に入れた。つまみ食いをするから元気なのよ」

(優さん)「しょっちゅう。またネズミが来たかって」
(ミヨ子さん)「手がいくもの、おいしいものには」

Q.ミヨ子さんの魅力は?
(優さん)「すべて」
(ミヨ子さん)「ははは」

今年で結婚53年。いつも笑顔で支え合ってきました。

(優さん)「あなたのおかげ、あなたの支えがあったから俺があった。ありがとうと言いたい」

(ミヨ子さん)「体に気をつけて頑張ってもらいたいと思います。私も頑張りますから」

あま〜い香り漂う、お菓子たち。仲良し夫婦の愛情とやさしさが注がれています。

■楠菓子店
住所:日置市東市来町養母329-2
電話:099-274-2706
不定休