• きばっちょいもす
  • 恒例のシリーズ「きばっちょいもす」では、元気なお年寄りを紹介します。

一筆勝負 墨で描く世界

迫力のにらみ、仁王像

鹿児島三大行事の一つ、曽我どんの傘焼きを描いた炎舞

花の濃淡が美しい椿の花

全て墨一色で描かれた水墨画の作品です。


日置市東市来町の水墨画家

日置市東市来町、この温泉町にひとりの水墨画家がいます。

芝龍郎さん、昭和14年生まれの82歳です。

(芝さん)「色を使わないですよね。墨の色で色を表現。椿をよく知っている人はヤブツバキだと」

Q.白黒だけで表現するのは難しいのでは?


(芝さん)「慣れるまでは難しい。なんせ水と墨だけですから。水をどのくらいつけたらいいのかとか。でも慣れたら面白いですよ」


水墨画を始めたのは29歳のとき…

中学校の美術教師をしていた芝さん、水墨画を始めたのは29歳の時。以来、県内各地で教鞭に立ちながら作品を描いてきました。

屋久島の自然を描いた作品は一湊中学校に赴任した時のもの。およそ40年前、世界自然遺産登録前で静かな島だったとふり返ります。

教員を退職後、水墨画の魅力を広めようと、鹿児島墨龍会を立ち上げた芝さん。MBC学園などで水墨画講座を開き、自分より年長の生徒にも水墨画の魅力を伝えてきました。

(当時の生徒 日高敏夫さん)「書き方とか筆の使い方も一から教わった。雰囲気はいいし、先生の教え方もいい」
(愛好家 森田毅弘さん)「墨のとりかた、水の使い方、濃淡の表し方すばらしい」


水墨画を始めて半世紀以上、墨と白の世界に向き合う

水墨画を始めて半世紀以上、芝さんの作品は去年、海を越えフランスのパリでも紹介されました。

満月に照らされたノートルダム大聖堂を描いた作品「満月」。火災にあう前の姿を描いた大聖堂の水墨画は現地でも注目を集めたそうです。

(妻 晏子さん)「わたしも作品展の会場にでかけたり、海外の様々なところに同行させてもらった。幸せな人生を2人ともおくれている」

(芝さん)「一筆勝負ですよ。描いたら消せないので。想像力がないとできない

傘寿を過ぎ、なおも精力的に墨と白の世界に向き合う、芝龍郎さん、82才です。