141年の歴史に幕…気象台の天気観測は職員の目から“機器”に 最後の1日「さみしさも…」

日々の天気は、明治時代からおよそ140年間、気象台の職員が空を目で見て観測してきました。しかし、長年続いてきた人の目による“昔ながらの観測”がきょう26日で終わり、鹿児島の気象観測は時代の転換点を迎えました。

26日正午前、鹿児島市東郡元町にある気象台の屋上で、空を見上げる職員。これが最後の観測です。

(鳥越悠平さん)「141年続いた観測の最後で、とてもさみしい気持ち」

気象台では、気温や風、降水量などは機器を使って自動で観測していますが、晴れや雨などの天気は、職員が直接、空を見る「目視」で観測してきました。

気象台で毎日の「目視観測」が始まったのは、141年前の明治16年、前身の鹿児島測候所だったころ。観測初日、1月1日の記録では、鹿児島市は午後から雨が降ったと残っていました。

では実際、どのように天気を目で判断するのでしょうか?

基準となるのは、空全体に占める雲の割合です。雲が1割以下であれば「快晴」、2割から8割なら「晴れ」、9割以上なら「くもり」と判断します。

黙々と、空を見上げること30秒。

(東島成良さん)「天気が良いので、もう大丈夫(Q.もう終わった?)そうですね、きょうは天気がいいので」「全体を10と見たらどれくらい雲があるのか。少しあるので、『0+』と雲の量をとった」

この日、正午の鹿児島市の天気は「快晴」と判断しました。

(東島成良さん)「それでは発信します。これで一通り、観測して発信まで」

観測を始めて東京の気象庁に記録を送るまで、作業時間は15分ほど。午前0時を除いて、3時間ごとに1日7回、5人の職員が交替で屋上に上がり観測してきました。

しかし、こうした「人の目」による観測にも、時代の波が…。

(沖園卓也主任技術専門官)「気象レーダー、気象衛星などを活用し、大気の状態を総合的に判断できるようになり、目視観測を自動化することになった」

気象台に務めて35年の沖園卓也主任技術専門官です。

(沖園卓也主任技術専門官)「ベテランの人に教えてもらって(代々)観測をしてきた。これまで毎日欠かさず、職員が目視観測をしてきたので、とても感慨深いものがある」

観測の自動化は、業務の効率化などから全国の気象台に広がっていて、奄美市の天気を観測する名瀬測候所では2019年に自動化されました。

今回は鹿児島とともに札幌、福岡などでも自動化され、目視の観測が残るのは、東京と大阪だけとなります。自動化されるのは、天気だけではありません。

(東島成良さん)「山がひょっこり。開聞岳です」

見通しのきく距離=視程も、人の目で測ってきました。気象台から基準となる開聞岳までの距離は41キロ。この日は、山がややかすんで見えることから…

(東島成良さん)「視程は40キロくらい」

長年の経験にもとづいたこの観測も、自動化されることになりました。

そして、26日正午。最後の天気の目視観測です。空全体に占める雲の量は「10割」。最後の観測は「くもり」でした。

(鳥越悠平さん)「(これまで)先輩職員から丁寧に教えてもらって、きょう最後の観測を終えた。業務としては終わるが、技術として引き継いで、今後、予報や防災業務に役立てたい」

観測が自動化される一方で、26日で終わる観測もあります。例えば、気象衛星や機器ではとらえることのできない「竜巻」や「ひょう」のほか、「快晴」「薄曇」といった晴れの度合いなど、30項目の観測が26日で終わります。

霜や冠雪なども終わりますが、シーズン最初の初霜や初氷、桜島の初冠雪などは、これまで通り目視で観測するということです。