キンカン、チョコ、イチゴまで…地域で作るクラフトビール 普段は美容師「苦労多くもやりがい」

キンカンや桑の実、辺塚のだいだいなど、大隅半島の素材を使ったこだわりのビール。作っているのは、鹿児島県の鹿屋市に拠点を置く小さな醸造所。地元の人たちとともに作りあげる、地域のビール。舞台裏を取材しました。

鹿屋市。町中に小さな醸造所があります。作っているのはクラフトビール。

(山内政洋さん)「地ビールですね、いわゆる。地元の食材をふんだんに使った」

地元・大隅産の素材にこだわっています。

「大甘」という金柑を使った「金柑エール」

お茶屋さんとコラボした「抹茶エール」

鹿屋のチョコレート工房のチョコを使った「麦チョコエール」

(山内政洋さん)「僕らは焼酎大国で育ったんですけど、自分たちの地域に地ビールがあってもいいんじゃないかなと」

山内政洋さんは、ブルワー。いわゆる、ビール作りの職人です。でも、実は本業が別にあります。美容師です。

ビール作りと二足のわらじ。

(山内政洋さん)「意識的には全部本気でやる。じゃないと、つまらないじゃないですか」

(妻・奈都恵さん)「まあ、とめてもしょうがないですよね。次は何をしでかすのかな、するのかなっていう」

好きが高じて9年前、仲間とともにビールの会社を立ち上げました。でも、鹿児島は焼酎大国。クラフトビールは受け入れられるのか…

まずは市場調査を兼ねて、ビールバーを開店。平行してビール作りのノウハウを学びました。

(共同経営する雪丸久徳さん)「苦労も多いですけど、その分やりがいがある」

仲間たちと試行錯誤を続け、2020年に醸造免許を取得しました。

店のすぐ近くに、地域の人たちが集まる場所があります。実は皆さん、ビール作りの仲間たち。ラベル貼りなどを手伝ってもらっています。

(地域の人)「楽しいです。お喋りしながら」

(地域の人)「94歳です。おかげさまでほら、ここに来るのが一番楽しみで」

(町内会長 有留道雄さん)「ビールは地元でどうかなと。途中で撤退するだろうと思ってたけど、手作りで店を作ったり地道にやっていたので、できる応援はしたくなって」

(雪丸久徳さん)「地元から応援してもらえるビール作りっていうのが、ちょっとずつですけど、広がってる実感はあります」

春の新作を作ることになりました。やって来たのは、錦江町のイチゴ農家。イチゴのビールを作ろうというのです。

(山内政洋さん)「おはようございます。初めまして」

(イチゴ農家 上鶴拓仁さん)「ビール好きなんで、めちゃめちゃ興味あって。想像つかないです。イチゴを使ったビールって」

(山内政洋さん)「(イチゴを食べて)めっちゃ甘い」

(雪丸久徳さん)「朝5時からこんだけ摘んでる」
(山内政洋さん)「これは綺麗だねー」

大隅の大地の恵み。朝採れのイチゴは、あの人たちのもとへ。

(山内政洋さん)「ちょっといつもと違って、今日はこのヘタとりをお願いしたいんですけど」

(有留道雄さん)「それでビールを作るの?」
(山内政洋さん)「新作です」

(地域の人)「売れるかも。イチゴだったら」
(山内政洋さん)「売れそうですか」

(地域の人)
「うん。売れそう。ははは」
「色もピンクできれいかもね」
「飲んでみたいよね」
「珍しいよね」

新作の仕込みが始まりました。

(雪丸久徳さん)「中まで温度を均一にするのは時間がかかるんですよ。80キロくらいあるから。大変な仕事ですよ」

仕込みは1日がかりの作業です。香りをつけるホップは、イチゴと相性のいいものを厳選。

(山内政洋さん)「3番目が合うね」

そして、いよいよ、苺の出番。丁寧にピューレ状にして、最後に加えます。どんなビールになるのでしょうか。

ラベルのデザインも決まりつつあります。モチーフは、イチゴのショートケーキ。

仕込んでから、およそ2週間。まずは、地域の人たちにお披露目です。

(地域の人)
「おいしい」
「イチゴの匂いがするよね」
「香りがする」
「長生きをして、こんなビールを飲めるなんて、夢にも思わなかったですよ」

(雪丸久徳さん)「地域の代名詞みたいなビールになっていけたら」

(山内政洋さん)「自分たちの子どもたちが成人した時に、当たり前に乾杯するような」

地域で作るクラフトビール。新作・イチゴのビールは、5月頃までの期間限定です。

【問い合わせ先】
レットイットビール
電話:0994-45-7766

ご紹介したビールは、鹿屋市のふるさと納税のサイトや、通販サイトなどから購入できます。