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小6の疑問「土曜授業は必要なの?」鹿児島は8年前から全校復活 全国でわずか1割ほど「週末の家族の時間が・・・」

県内の小中学校では毎月第2土曜日に、土曜授業が行われています。この土曜授業全国で行っているのは1割程度。
県全体で行っているのは九州では鹿児島だけです。きょう15日は「土曜授業なぜあるの?」という小学生の疑問について調べました。

小学6年生の今吉はるねさん12歳です。両親と高校生の姉、そして2匹の柴犬と霧島市で暮らしています。

(今吉はるねさん)「宿題があるので、平日はそんなに(犬と)遊べない。休みの日にたくさん一緒に過ごせる」

「土曜授業はなぜあるのか?」
疑問を持ったのは4年生のときでした。日記に書いたところ先生も共感してくれたことが心に残っています。

平日は父親の帰りが遅いため、家族がそろう貴重な週末は、はるねさんにとって大切な時間です。

(今吉はるねさん)「(第二土曜に)姉が午後から部活のときは、そろわないことも多い。土曜授業がなければ、お菓子が作れるとか」

土曜授業への疑問は膨らむばかり…先月、新聞に投稿が載りました。

「第2週は休みが1日だけで、いやだなあと思う」
「先生たちも休めなくて、疲れないのだろうか」

母・孝子さんも同じ思いです。

(母 孝子さん・44)「何となく学力のためかなと。でも聞いてみると、授業ではなかったり、行事だったり。では何なのかなと聞いてみたい」

(今吉はるねさん)「しっかりした理由がないなら、いらないと思う」「やっぱり動かないと変わらないので(新聞に)投稿してみた」

土曜授業はかつては全国的に行われていましたが、週休2日制や学習内容を削減する「ゆとり教育」の導入で、2002年度から無くなりました。
しかし、国はゆとり脱却のため2013年に方針を見直し、「教育委員会の判断で可能」としました。

県内では、2015年までにすべての公立小中学校で毎月第2土曜日に半日の土曜授業を再開。年間7回から10回行われています。
県教委が各市町村教委に出した通知では、「学力向上」のほか、「土曜日に実施する利点を生かした地域や保護者と連携した取り組み」を要請しました。

「ない方が良い」
「あった方が良い。友だちと交流できるから楽しい時間が増える。5年生になると、塾に行く子が多くなり遊ぶ機会が減ってきた」
「ない方が良い。児童クラブに朝から来て遊んだ方が良い」
「あった方が良い。勉強になるから」

(母親)
「自宅学習も難しい。働いていて児童クラブにお願いしているので、みっちり家で見てあげられればいいが」

全国的にみると、土曜授業は減る傾向にあります。国の調査では実施している公立の小・中学校は2018年度が26.3%でしたが、昨年度は、小学校11.3%中学校11.9%と1割程度にとどまっていて、全県で実施しているのは九州では鹿児島だけです。

廃止の理由はさまざまですが、今年度廃止した三重県名張市は、要因の一つに「教員の働き方改革」を挙げています。

(県教職員組合 田中誠書記長)
「働き方改革にも逆行している」

県教職員組合が昨年度行った調査では、土曜授業について、84%が「実施しなくてもよい」と回答。

「部活もあり12日連続勤務になった」「自分の子どもの行事いけない」
「通常授業と一緒で意義があるのかわからない」

などの声がありました。
アンケートからは、子どもたちへの負担も見えてきたといいます。

(県教職員組合 田中誠書記長)
「週明けの子どもたちの様子がおかしい」「子どもたちも疲れている。子どもたちに私たちが視線を傾けていなかった思いがあった」
「(土曜授業が)画一的に運用されているのではと懸念している」

土曜授業はなぜあるのか?はるねさんの疑問を直接、教育委員会に投げかけると…。

(霧島市教委 阿多石英樹学校教育課長)「なぜ第2土曜日だけ授業があるのかと思う人がいるかもしれないが、土曜だからという意味合いもたくさんある」

霧島市では土曜授業を年間10回実施。アユの放流や伝統芸能の継承など、土曜日にしかできない活動をしているといいます。

(Q.はるねさんは納得してくれると思う?)
(霧島市教委 阿多石英樹学校教育課長)「なかなか子どもたちに土曜授業の目的や狙いが伝わりにくい部分があるかもしれないが、土曜授業は月曜から金曜までの授業とは違うが、何かワクワクするよね。そういう気持ちを持ってくれたらうしい」

市教委の見解をはるねさんに見てもらいました。

(Q.土曜授業の目的は分かった?)
(今吉はるねさん)「土日休んでこそ、月曜がワクワクすると思う」
「まだ無くしてほしい気持ちは残っている」

(Q.先週の土曜日はどんなカリキュラム?)
「(前回の土曜授業は)国語はテストで、社会は普通に授業。家庭科は料理実習のことを教えられた」
「小学生の意見を聞いて、先生たちの意見も聞いてほしい」

8年前に再開され県内ではすべての小中学校で続く土曜授業。
はるねさんの疑問はまだ消えていないようですが、教職員や子どもの気持ちを踏まえたあるべき姿の議論が求められます。

ちなみに、来年度のカレンダーでは土曜授業がある第2土曜を含む土、日、月の3連休が夏休みを除くと3回ありますが、土曜授業があればすべて2連休になる可能性があります。

子どもたちにとって有意義な時間となるよう復活した土曜授業。利点と欠点を踏まえ考え直す時期に来ているのかもしれません。