“桜ケ丘”にある“桜丘西小学校” どうして鹿児島市の学校名は「ケ」がない?

鹿児島市には桜ケ丘や星ケ峯など地名に「が」と読む小さな「ケ」がつく地域がありますが、その地域にある学校名には「ケ」がありません。どうしてなのか調べました。

(記者)「鹿児島市の桜ケ丘です。桜ケ丘の地名を漢字で書くと『ケ』があるが学校名にはない。その謎を調べます」

向かったのは・・・

鹿児島市桜ケ丘にある桜丘西小学校、子どもたちが書いたように桜と丘の間に「ケ」の字はありません。「桜丘東小」「桜丘中」にも「ケ」はなし。

星ケ峯にある「星峯中」や緑ケ丘の「緑丘中」も同じで、鹿児島市に「ケ」のつく学校は存在しません。

(小学生)
「(Q.なぜ『ケ』がないか知ってる?)知らない」
「書くのが面倒くさいからだと思います(Q.『ケ』を書くのが?)書くと3画増える」
「地名と区別をつけたかったからとか?」
「『ケ』という字がカタカナみたいだからダサい」

子どもらしい憶測ですが、真相はいかに?

(桜丘西小学校赴任6年目 永田真也教諭)「団地を中心に西側にあるから桜丘西小になったということは書いてあったが、なぜ『ケ』が抜けたのかはどこにも書いていなくて」

赴任して6年目の永田真也先生です、先生たちも答えは知りませんでした。

(桜丘西小学校赴任6年目 永田真也教諭)「先生たちの噂というか言い伝えというか、学校は子どもたちが通う所だから『けが』がないよう『ケ』をとった」「『けが』がないというのが一番しっくりくる」

桜丘西小ができたのは桜ケ丘の宅地造成が完了した1978年、創立45年です。

(桜丘西小学校 松元浩幸校長)「市議会にて桜丘西小学校『ケ』のないこれを正式名称としますと」

学校は条例に基づきつくられるため、鹿児島市なら知っているはずと教育委員会に問い合わせたところ。「当時の議事録が残っておらず、教育委員会としては何も答えられない」との返答。

市は分かりませんでしたが、桜ケ丘の住民なら知っているかもしれません。

(70代・桜ケ丘在住約2年)「桜丘西小なんか『ケ』がないよね(Q.理由は?)ちょっとわからない」

(70代・桜ケ丘在住約10年)「なんでやろ、(Q.疑問に思ったことは?)別にない」

(60代・桜ケ丘在住約40年)「たぶん「え?なんで?」と思っている人は少ないと思う」

(70代・桜ケ丘在住約40年)「意識したことなかった子どもも小学校出たのに(Q.何小学校ですか?)桜丘西」「(桜丘)東小もないですか?私は(子どもが)東小なんですけど(Q.気づいていなかった?)なかったです」

40年以上、桜ケ丘に住む人たちも理由は知らないようです。

ヒントをもらえないかとむかったのは鹿児島大学です。

(鹿児島大学 原田義則准教授)「『ケ』はカタカナではなくて、『箇』の略字が変化したもの」

元小学校教諭で国語教育を研究している原田義則准教授は、『ケ』の文字に注目します。『ケ』は漢字『箇』の略字『个』が変化したもの、もしくは竹冠の一部が転用されたものと言われています。

(鹿児島大学 原田義則准教授)「漢字がルーツ」「数詞に続けてモノを数えるときには『箇』という字を使っていた」

文化庁は公用文や教科書では『ケ』は使わず漢字かひらがなで統一しています。小学校の国語の教科書をみると確かにひらがなで表記されていました。

また、『ケ』の字は学校では習わないそうで・・。

(Q.『ケ』という字は習った?)「習っていないです」
常用漢字ではないという理由から『ケ』を外したという説も考えられます。

ただ、鹿児島市以外には『ケ』がある学校が、南九州市や垂水市にあります。さらに志布志市や奄美市には大きい『ケ』やひらがなを使う学校も。

(鹿児島大学 原田義則准教授)「表記の問題で解決する問題ではない」「学校名は当時の地域の人の思い、教育的な側面や地域の願いや思いから学校名をつけたことが考えられる」

2026年に桜島に開校予定の義務教育学校は、地域住民らが集まった公募の中から絞り込み、最終的に市教育委員会が「桜島学校」に決めました。

(鹿児島市 下鶴隆央市長)「全国、世界に知られた桜島の名を冠した。もうひとつは、桜島の地域全体で学びの場を作っていくコンセプトが伝わる名前だと思う」

鹿児島市の学校に『ケ』がないのも何か特別な思いが込められているかもしれません。

(鹿児島大学 原田義則准教授)「学校名を入り口として自分の学校のことを好きになってもらう、自分のふるさとのことをますます好きになってもらうことが大切」

『ケ』がない明確な理由は、分かりませんでしたが、地域のことに疑問をもち調べ考えることで、新たな発見や地元愛の深まりにつながるかもしれません。