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漁場を予測できるスマホアプリ 鹿児島大学・県が共同開発へ 「スマート漁業」目指す背景は(2023年8月22日放送)

最新の情報通信技術などを活用した「スマート農業」という言葉を最近、よく耳にしますが、水産業の世界でも「スマート漁業」を目指す取り組みが始まっています。
鹿児島県と鹿児島大学が開発を始めたのは、魚が獲れる漁場を1週間先まで予測し、スマートフォンなどで見られるアプリです。


県と鹿児島大学が22日に発表したのは、漁場がどこにできやすいか、1週間先までの予測を見られるスマートフォン・タブレット向けのアプリの開発です。

漁場をどうやって予測するのか?そのポイントになるのが、海水の温度と塩分濃度だといいます。

例えば、イカは塩分濃度が低いところを嫌い、養殖に使われるブリの稚魚・モジャコは18度くらいの水温で群れをつくりやすいとされています。つまり、海水温や塩分濃度の分布に潮の流れを組み合わせれば、どこに魚が集まりやすいか予測できるというわけです。

この予測技術の開発に欠かせないのが、研究に協力する漁船から送られてくる海水温などのデータの蓄積です。

(県水産技術開発センター 湯ノ口亮研究員)「漁具に一緒に取りつけて海に入れる。水温・塩分濃度が分かる」

こうした新技術の開発の背景には、漁業を取り巻く厳しい環境があります。

養殖を除く県内の水揚げ量はおよそ4万8000トンで、10年前に比べ半分ほどに減少。一方で、燃料価格は高値が続き、県によりますと、今月は1リットルあたり123円で、去年の同じ月に比べ12円上昇しています。

(県水産技術開発センター 外薗博人所長)「燃料費、操業時間の削減に役立つようになれば」

県と鹿児島大学は、当面、ゴマサバとブリの稚魚・モジャコを対象に漁場予測のアプリを開発することにしています。

東町漁協でモジャコ漁をする漁業者は…。
(東町漁協(長島町)でモジャコ漁・赤崎隆幸さん)「成功するならコスト面で助けになるので、ありがたい」

県と鹿大は今後2年ほどかけ、漁船から海水温などのデータの蓄積と実証実験などを進め、2025年度にアプリの開発を始めたいとしています。

(県水産技術開発センター 湯ノ口亮研究員)「農業は天気予報をもとに農作業をするが、漁業はそのような情報がない。漁業者が少しでも操業しやすくなるよう、スマート水産業を頑張ってつくりたい」

将来的にはゴマサバなど以外にも、予測する魚の種類を増やしていきたいとしています。