新型コロナ「全数把握」見直し 鹿児島県医師会「やむを得ない」

新型コロナに関して、政府は保健所や医療機関の負担を減らすため、全ての感染者を届け出を義務付ける「全数把握」の見直しを検討しています。これについて、鹿児島県医師会は23日、「やむを得ない」との認識を示しました。

政府は24日にも新たな新型コロナ対策について発表する見通しで、すべての感染者の情報を届け出る「全数把握」を見直し、届け出の対象を高齢者や重症化リスクの高い人に限定する方向で検討しています。

「全数把握」の見直しは、現場の負担軽減が期待される一方で、感染状況の把握がより難しくなることも懸念されています。

県医師会は23日の会見で「全数把握」について、ある程度の感染状況は把握できるとして、見直しは「やむを得ない」との認識を示しました。

(県医師会・大西浩之副会長)
「全数把握ができるに越したことはないが、(高齢者などの)定点把握になったとしても、感染の全体像が全く見えなくなるわけではない。今の現状を考えると全数把握の見直しもやむを得ない」

また、感染者の家族らに症状が出た場合、検査をせずに医師の診察で陽性とみなす「みなし陽性」の判断を県が今月29日から取り入れることについても、医療機関の負担軽減になるとして理解を示しました。

(県医師会・大西浩之副会長)
「家族が陽性で(別の家族に)熱が出てコロナと思ったら、実際は違う疾患だったこともあるので、県・県医師会としては極力頑張れるところまでは『みなし陽性』はしないようにしたが、昨今の感染状況を考えると導入せざるを得ない」

一方、22日までの1週間の感染者を年代別で見ると、10歳未満の子どもの割合は13.4%で、その前の1週間と比べて下がり、30~40歳代の感染が上回っていることが分かります。

ただ、5歳から11歳の2回目のワクチン接種率は20.25%にとどまっていて、2学期が始まると子どもの感染が拡大するおそれがあるとして、県医師会は23日の会見で、子どもへのワクチン接種を呼びかける緊急メッセージを発表しました。

(県医師会委員 鹿児島大学・西順一郎教授)
「10歳未満の10人に3人、10代の4人に1人はすでに感染している。9月の新学期を迎えると、さらなる感染が懸念される」

県医師会では、ワクチン接種によって感染や発病を防ぐ効果には限界はあるものの、肺炎などの重症化や後遺症のリスクを下げるとして、接種の有効性を強調しました。

(県医師会委員 鹿児島大学・西順一郎教授)
「(ワクチンに)限界があることも事実。ワクチンを打って感染したとしても、後遺症は少ないという研究結果もある。例え発症したとしても、ワクチン接種は無駄にはならない」