桜島の噴煙の高さはどう測る?
私たちの生活と直結した桜島の噴火情報の「噴煙の高さ」を一体、どのような方法で測っているのか調査してきました。
鹿児島のニュースで頻繁に目にする桜島の噴火情報。噴火の時間や降灰の方角とともに発表されるのが「噴煙の高さ」です。
牛島記者「桜島の噴煙の高さの測り方を知っている人がいるのか、街の人に聞いてみました。」
「わかんないです。なんか三角関数とかで出すんですかね。」
「そのときの雲の高さ」
「赤外線?それはないでしょ・・」
「ヘリコプターで測る」
噴煙の高さは、火口から上空の最高到達点までの距離が発表されています。
桜島の高さは最高峰の北岳で1117メートル、現在、噴火警戒レベル3の入山規制が続いていて実際に火口まで近づいて計測することは難しそうです。
先月8日に爆発では、噴煙が5500メートルの高さまで上がりました。この日は上空まで立ち上る噴煙がはっきりと確認できましたが、天気によって火口上空に雲がある時や、夜間など視界が優れない時には、噴煙の頂点を見つけることが難しい場合もありそうです。
実際の噴火情報を発表している鹿児島地方気象台をたずねました。
鹿児島地方気象台で桜島などの火山の観測を担当する火山現業室。多くのモニターが並べられた室内の一角に噴煙の高さを測る答えが…。
こちらが「噴煙観測装置」。桜島を映し出したモニター上の噴煙の最も高い場所に印をつけ、桜島までの距離などから噴煙の高さを計算し噴煙の高さを測ります。
噴煙の高さの情報は活火山の近くに市街地や空港がある鹿児島で生活する私たちの「生活への影響」を知らせる重要な情報だと話します。
鹿児島地方気象台 火山担当 五藤大仁予報官「飛行機が飛ぶような上空まで噴煙が達すると航空機のエンジンに火山灰が入ってエンジントラブルがおきる可能性も十分考えられると、あとは普段、降灰に慣れていない地域に火山灰が降りますと路面とかに堆積してスリップしやすく、事故につながる可能性も十分考えられますので、そういった面でも噴煙の高さを正確にはかるところは重要だと思われます」
桜島の噴火は取材中にも…
桜島は気象台のカメラ3台、大隅河川国道事務所が管理するカメラ6台のあわせて9台のカメラで24時間体制で監視しています。
その中のひとつ気象台の中に設置された観測カメラは…
全国でも珍しい複数台のカメラによる監視体制。
きっかけは鹿児島市側からは火口が確認できない2006年の昭和火口での58年ぶりの噴火でした。
五藤予報官「霧島山にも監視カメラを設置していまして、そちらのカメラを桜島にむけてより高いところの噴煙を観測しているというところになっていますので、5000メートル以上あがっても噴煙のほうは観測できるという体制にはなっています。」
年々観測体制は充実していますが、少し前まで別の方法で測られていたといいます。火山を観測する現業室にはその名残が…。
実は4年前の2015年に「噴煙観測装置」が整備されるまで、噴煙の観測は職員の目視だけで行われていました。
五藤予報官「この南岳山頂火口のところに目線の高さを合わせてもらって、噴煙の高さが予測できるというところで」
一見、原始的な観測方法に街の人は…?
「ぼくなんかは目でいくね。3000メートルぐらいやねとか、みんな言うもんね」
五藤予報官「大体、山頂と同じぐらいまで噴煙があがっていると、1000メートルぐらいあがっているなというところで認識してもらえればいいと思います。」
鹿児島で生活する私たちの暮らしに直結する「桜島の噴火情報」。
情報の正確さのウラには観測する人たちの長年の熱意と工夫が隠されていました。