大谷翔平選手が贈ったグローブ「野球しようぜ!」のはずが「できない」…学校の事情を調べてみると
15日話題になった大谷翔平選手です。先日、結婚を発表してから初めて妻の写真をSNSで公開しました。夫婦2人でファンの前にも現れました。
その大谷選手といえば、子どもたちに「野球しようぜ」とメッセージを添えて全国の小学校に贈ったいわゆる「大谷グローブ」も話題になりました。
実は今、学校の事情で、子どもたちが自由に使えないケースも出ているんです。何が起きているのでしょうか?
去年12月ごろから、県内すべての小学校に3つずつ届いた、大谷グローブ。全校児童2人の鹿児島市喜入の一倉小学校では、昼休みや体育の時間にグローブを使って、キャッチボールを楽しんでいます。
一方で、児童数の多い小学校ではどのように活用しているのでしょうか?全校児童910人の谷山小学校では…。
(記者)「ありました大谷グローブ、鍵もしてあり大事に展示してある」
学校では、届いたグローブを全てのクラスに順番に回し、子どもたちが触ったり、はめてみたりできるようにしたといいます。そして現在は、地域の人にも見てもらえるよう校長室前に展示しています。
(谷山小学校 長友充男校長)「(地域の人から)『見せてもらえますか?』と問い合わせが数件あって、(見に来たのは)5、6人だが、見たいという人が続いているので、しばらく展示する予定」
地域の大人も、ひと目見たいと訪れていますが、子どもたちからは…。
(6年生)「ニュースとかで3人しか児童がいない学校が、普通に使っていて、使いたいなとずっと思っていた」
「(何がしたい?)キャッチボール」
グローブを自由に使えないのには、児童数の多い学校ならではの事情がありました。
(6年生)「野球ボールを使ったら前に怒られた」
(谷山小学校 長友充男校長)「人数が多いから昼休みは校庭いっぱいに人がいる。そのなかで野球はむずかしい」
児童数500人以上の、鹿児島市の公立小学校26校を取材したところ、大谷グローブを職員室などに保管または、展示している学校は15校と半数以上でした。「児童が多く、校庭で使うとけがをするおそれがある」という理由がほとんどでした。
一方で、9校は、昼休みなどに子どもたちが使えるものの、「柔らかいボールに限定する」「教職員がいる時に使う」など、ルールを作っています。
さらにグローブの数も…。
(Q.3つという数は?)
(谷山小学校 長友充男校長)「無理は言えないが、もっとあったらうれしい。奪い合いになる、まわらない子どもにとっては不公平になるし難しい」
児童の多い学校では安全面や公平性から、大谷選手の言う「野球しようぜ!」とはいかないようです。そんな中、児童数446人、日置市の妙円寺小学校でも、昼休みでは使えないものの…。
大谷グローブを使ってみたいという子どもたちの願いをかなえるため、保護者らが休日の校庭で野球イベントを企画。地域の住民や子どもたち50人以上が集まりました。
(妙円寺児童)
「(Q.使ってみたいと思っていた?)はい(Q.今の気持ちは?)うれしい、夢がかなったみたい」
安全のため保護者が見守る中、子どもたちは3つのグローブを交替で使いながらキャッチボール。
(妙円寺児童)
「軽くて使いやすい」
「妙円寺翔平チームでーす」
そして大人も一緒に試合。子どもも大人も一緒になって野球を楽しみました。
(保護者)「(大谷グローブが)贈られると分かっていたので、孫には来た?来た?と聞いていた」
(親子)「(子どもが)ソフトボールを経験していないので、大谷さんを通じて目標とか夢とか新たなものができればと思う」
(Q・夢できた?)「たくさん打ちたい」
(企画した妙円寺小おやじの会 大内山渡会長)「ひとりでも(野球に)興味をもってくれる子が増えればと思い企画。大谷選手みたいに野球もうまくて、立派な人間になってほしい」
保護者のアイデアで子どもたちは大谷グローブを思う存分、使えたようです。
(Q・大谷グローブ使った?)
(妙円寺児童)「うん。楽しかった、もっと野球したいと思った」
「(大谷さんから)『野球頑張れよ』みたいな感じがした」
児童数が多いため、校長室に展示していた谷山小学校。グローブが使えないことを残念がりつつも…。
(谷山小児童)
「(野球を)知らない人も興味が出ただろうし、知っている子もがんばってうまくなったら、(大谷選手みたいに)みんなにグローブを配れるんだと感じた」
「今も野球やっているけど、もっと大谷選手みたいな選手を目指したい」
グローブが使えなくても、野球に興味をもってほしいという大谷選手の思いは伝わっているようです。
今回、取材した谷山小学校、妙円寺小学校ともに、今後、昼休みなどで大谷グローブを使えるようにできないか、検討していくということです。