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奄美記録的大雨 予測難しい線状降水帯「注意報で終わると思ったら…」 身を守るには? 鹿児島(2023年6月27日放送)

奄美地方に大きな被害をもたらした今回の大雨では、発達した雨雲がかかり続ける線状降水帯の発生情報が2日連続で出されました。気象台が「予測は難しい」と話す線状降水帯。専門家は「自分で判断し行動することが大切」と指摘します。


「局所的にできるような線状降水帯は、特に予測が難しい」

停滞する梅雨前線の影響で先週、記録的な大雨となった奄美地方。発達した雨雲がかかり続ける線状降水帯の発生情報が2日連続で発表される異例の事態となりました。

降り始めからの総雨量は瀬戸内町古仁屋で571.5ミリ、沖永良部島で484.5ミリに達し、5日程度で平年6月ひと月分を超えました。

線状降水帯の「予測の難しさ」は、当時、気象台が発表した大雨の情報から読み解けます。

19日、線状降水帯が発生するおよそ9時間前に発表された情報です。その日、奄美地方で予想された1時間雨量は最大40ミリで、「気象情報を終了する」とも書かれています。
しかし、その後、急速に雨雲が発達。午後2時すぎ、線状降水帯の発生情報が出されました。

(鹿児島地方気象台 山下一実主任予報官)「当日担当していた予報担当者は、注意報クラスで終わると思って、情報を終了した。非常に激しい雨までは予測が難しかった」

さらに、1時間に最大40ミリと予想していた翌20日も線状降水帯が発生。大和村付近では1時間におよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられています。

(鹿児島地方気象台 山下一実主任予報官)「線状降水帯が発生要因の解析がまだ進められていない。今回の奄美地方で言うと、周りは海で観測地点がない。予測自体が完璧でないし、難しい」

地質学が専門で自然災害や防災に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授も、大雨の予測には「限界がある」と指摘します。

(鹿児島大学 井村隆介准教授)「自分自身で行動を起こすしかない。気象庁、自治体が出す情報は努力して細かくなっているが、『今、逃げなさい』という情報は、永遠に出せないと思う」

では、線状降水帯が発生した時、どう行動すればいいのでしょうか?

線状降水帯の発生情報は、「災害発生の危険度が急激に高まっている」ことを示します。
住民がとるべき避難行動などを示す5段階の大雨警戒レベルでは、自治体が避難指示を出す「レベル4相当以上」とされ、明確な位置づけはありません。

(鹿児島大学 井村隆介准教授)「限りなくレベル5に近い、緊急安全確保に近い状況。もし自分の周りで大雨になっていたら、さらにしばらく続くと宣言されたのと同じ。
気象庁の情報、自治体の避難情報がどんな時に出されるか知っておき、雨の状況、家から避難所までの状況などを総合的に判断して行動を」

九州南部の平年の梅雨明けは7月15日ごろ。奄美地方でも台風など大雨のリスクが続く中、普段からの備えが大切です。