地域防災 大雨増加の背景と備え
シリーズ「地域防災」です。近年、雨の降り方が激しさを増しています。
県内でもことし各地で記録的な大雨が相次ぎ、被害が出ていますが大雨はなぜ増えているのか?
また、今後、どのように備えるべきなのかなど専門家らに聞きました。大山気象予報士の報告です。
先月4日、喜界島を襲った大雨。
レーダーによる解析で2度にわたって1時間におよそ120ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象台は記録的短時間大雨情報を2度発表したほか「50年に1度の大雨」と発表しました。
床上浸水や床下浸水が相次いだほかがけ崩れや道路の被害も発生しました。
同じ日に奄美市笠利で、また翌日には屋久島でも猛烈な雨が降り気象台が「50年に1度の大雨」と発表。
7月には指宿市でも1時間におよそ120ミリの雨が降ったとみられ、記録的短時間大雨情報が出されるなど県内ではことしもこれまでに猛烈な雨が相次いでいます。
なお、県内では去年1年間に記録的短時間大雨情報が各地で合わせて7回発表されました。
気象庁は近年の雨の降り方の変化について「新たなステージ」と捉えています。
(鹿児島地方気象台平山久貴防災気象官)「これまでの防災減災に関わる想定や常識が通用しないケースが増えてきてる。局地化、集中化、激甚化というのが近年の大雨の特徴。」
1時間に80ミリを超える猛烈な雨が降った回数は、1年間の平均で1980年代は1.4回、1990年代は1.8回、でしたが2000年以降おととしまでの年平均は3回。2010年には年に6回、2015年には8回猛烈な雨に見舞われています。
大雨はなぜ増えているのでしょうか?
(鹿児島地方気象台平山久貴防災気象官)
「地球温暖化によって海面の水温が上昇することによって空気中の水蒸気が増えてきている。その結果、海上の大量の水蒸気が陸地に入っていることによって、様々な要因が重なり合って大雨をもたらす。」
大雨が激しさを増す中、土砂災害や河川の氾濫などに一層の警戒が必要です。県は現在、県内の17000か所以上を「土砂災害警戒区域」に指定しています。また、県内19の川が流れる地域を大雨による氾濫で浸水のおそれがある「洪水浸水想定区域」に指定しています。
その一つが鹿児島市を流れる新川です。
「普段は穏やかな流れの新川ですが、過去には大雨でたびたび氾濫をしました。」
過去に浸水被害などをもたらした新川。
河川改修や上流の西之谷ダム建設など治水対策が進められましたが鹿児島大学の大木公彦名誉教授は最近の雨の降り方の激しさを考えると今後も警戒が必要と指摘します。
(鹿児島大学大木公彦名誉教授)「想定外のすごい雨、100ミリの雨が当たり前になってきているので、いつ何時あふれないとも限らない。」
また、大雨で崩れやすい鹿児島のシラス台地について大木名誉教授はこう指摘します。
(鹿児島大学大木公彦名誉教授)「シラスは大雨が降ったりすると崩れやすい。山の表面は100年くらいすると風化する。表面から1メートルくらい弱くなっていて、これがストンと落ちちゃう。シラス特有の崩壊。植生があるから大丈夫とはいえないかもしれません。」
大木名誉教授は自分が住んでいるところの地形や危険な場所、避難所までのルートなどを日ごろから知っておいてほしいと話します。
雨の降り方が激しさを増す今、過去の経験にとらわれることなく、備えておくことが大切です。
(2017年10月13日(金)放送)