• HOME
  • ブログ
  • 地域防災
  • 死者202人…能登半島地震 倒壊・火災・津波から命守るカギ「揺れへの備え」「想像力」 鹿児島

死者202人…能登半島地震 倒壊・火災・津波から命守るカギ「揺れへの備え」「想像力」 鹿児島

元日に起きた能登半島地震。石川県などによりますと、9日現在、死者は202人、安否不明者は102人となっています。
ニューズナウでは、大きな地震や津波から命を守るにはどうすればいいのか、シリーズでお伝えします。今回は、建物の倒壊に、火災、津波など今回の地震を振り返り、鹿児島県内で起こりうる地震やリスクについて専門家と考えます。

(井村隆介准教授)「揺れによる建物の倒壊、土砂災害、火災、津波、液状化。地震による災害の全部が出ている」

元日の午後4時すぎ。石川県・能登地方を震源とする地震で、最大震度7を観測しました。震源の深さは16キロで、地震の規模を示すマグニチュードは7.6。そのエネルギーは、マグニチュード7.3だった同じ内陸直下型の阪神淡路大震災、熊本地震の3倍にあたります。
各地で道路が寸断されるなどし、1週間が過ぎた今も、被害の全容は見えていません。

今回の地震は、過去に大きな地震を引き起こした「活断層」が再び動いたことで発生しました。

地震地質学が専門の鹿児島大学・井村隆介准教授が着目するのは、揺れの長さです。例えば、同じ直下型地震の熊本地震の場合は20秒でしたが、その3倍のエネルギーを放出した今回の地震はさらに長く続きました。

(井村准教授)「一番大きかったM7.6の地震は40秒くらい揺れた。震度7だけが怖いのではなく、揺れている時間が長いことが家や建物の倒壊につながる。普通の揺れでは倒れないものが、倒れてしまう」

これまでに発生した地震などをもとに、鹿児島県が想定した、県内の主な地震と津波です。南海トラフの巨大地震や桜島の海底噴火も含め12の地震があります。

鹿児島湾直下では最大震度7で津波は3.4m。桜島の海底噴火では桜島におよそ15m、鹿児島市街地に3m以上です。

このほか、県西部直下で最大震度7、甑島東方沖で6強。薩摩半島で最大3m以上、甑島では最大およそ9mです。

国が対策を進める南海トラフの巨大地震は、最大震度6強。県内全ての沿岸で津波が予想されていて、大隅半島の太平洋側で最大およそ8.5m。屋久島と西之表市で10m以上。

種子島東方沖、トカラ列島太平洋沖、奄美群島太平洋沖北部・南部でも震度6弱から7の地震が想定され、最大で9mを超える津波が予想されています。

内陸直下の活断層が動いた今回の地震では、広い範囲で建物の倒壊など壊滅的な被害が出ています。

(珠洲市長)「(被害大きい地域は)ほとんど立っている家がない。9割がた、全壊もしくはほぼ全壊」

追い打ちをかけるのが余震です。能登半島では元日から9日午後5時までに、震度1以上の地震が1263回。日に日に数は減っているものの、9日も19回観測されています。

(井村准教授)「大きな地震であれば、後に続く地震も多いし、規模も大きい。(揺れに)耐えた建物も、後の地震で壊れることも十分考えられる」

大きな揺れに続いて、沿岸部は津波に襲われました。海岸沿いの断層が動いたため、津波がわずか1分ほどで到達した地域や、実際には最大5メートル近くの津波が押し寄せたことがこれまでの調査で分かっています。

(井村准教授)「このあたりは後ろに森があって高台になっているので、近い家は逃げられるかもしれないが、少し離れた海岸沿いの人は2階に上がるしかない。」

「しかし、2階に上がろうとした時に、建物が壊れていると、家ごと流されてしまう」

被害をさらにひろげたのが、火災です。観光地「輪島朝市」ではおよそ200棟が焼けました。

(井村准教授)「木造建築がある限り、燃えるのが火事。季節風の強い時やフェーン現象(乾燥した風)があれば、もっと大火になった可能性がある。日本海側では大火が過去にいくつもあった。地震があった時の火事は、消防もなかなか来られない」

鹿児島でもいつ起きるか分からない地震。建物の倒壊に、火災、津波など、短い時間で複合的に起きるリスクから身を守るには、どうすればいいのでしょうか?

井村准教授は、まずは揺れからどう命を守り、どんな被害が起こり得るのか、普段から想像し、備えておくことが大切だといいます。

(井村准教授)「震度7なら、まずは揺れから身を守ること。地震による揺れに最初は備えないといけない。その後に火を消すことや津波からの避難。防災は想像力だと思う。自分がその立場になったら、今起こったらというのを、この機会だけでも考える。その大変さを感じて防災に生かすことが、被災地の思いに応えることにもつながる」

関連記事一覧