「全国各地の漬物」
先週の放送でいただいたメールのなかで「ごはんのおともはふりかけ!」という方がいらっしゃいました。ふりかけにも様々な種類があり、皆さんもお気に入りのものがあると思います。ですが、今日ご紹介するのはふりかけと同じくらい人気なごはんのおとも「漬物」です。
全国には数多くの漬物があります。今回、ご紹介できるのはその中の一部ですが、有名なものから珍しいものもありましたので楽しみにされてください。
松前漬け(北海道)
鹿児島の皆さんは「北海道の物産と観光展」でよく目にするのではないでしょうか。松前漬けは北海道の郷土料理で数の子やスルメ、昆布を醤油で漬けたものです。名前の由来は「松前藩」から。寒さが厳しい北海道・東北地方は、漬け物王国とも言える地域なんだそうです。
いぶりがっこ(秋田県)
いぶりがっこ、燻りは燻製、がっこは秋田の方言で漬物のことです。東北地方の言葉らしい名前の漬物ですね。大根を囲炉裏の天井につるして煙でいぶし干しにして、それを米ぬか漬けにしたもので、独特の歯ごたえと香りがあります。
金婚漬け(岩手県)
瓜の芯をくりぬき大根や人参ごぼう、シソなどを昆布で巻いて詰め込み、味噌やもろみに漬けたもので、岩手県花巻地方に古くから伝わる名産です。古くなるほど美味しいといわれています。金婚式を迎えた夫婦のように、長い時間をかけて馴染み良い味を出すということから金婚漬けといわれています。
仙台長茄子漬け(宮城県)
仙台茄子は、伊達藩の時代から作られ400年の歴史を持つともいわれる、東北の気候にあった早生品種です。小ぶりの茄子で、早生のため色つやが良く、皮も薄いので、漬物用にピッタリです。
納豆漬け(茨城県)
納豆漬けは、水戸の名産です。水戸の糸引納豆と切干大根を混ぜて醤油で漬けたもの。日持ちしない納豆を日持ちするように漬けたものです。約1年漬け込んでつくり、風味豊かでやわらかな納豆と、大根のシャキシャキとした歯応えがアクセントとなり、絶妙な味わいを楽しむことができます。
べったら漬け(東京都)
大根をまず塩漬けし、浅く漬かったものを甘酒をベースとしたぬか床(麹床)で本漬けしたものが「べったら漬け」です。江戸時代、日本橋大伝馬町の恵比寿講(えびすこう)の祭礼の宵宮(よいみや)に、織物商人が集まって市を開いていました。この市に、ダイコンを麹と飴で加工して売り出したのが始まりといわれています。麹でべたべたしているところからべったらとよばれています。
漬物ステーキ(岐阜県)
岐阜県飛騨地方の郷土料理です。飛騨地方では昔から漬物を焼いて食べる習慣がありました。極寒の冬の貴重な食料であった漬物が野菜としての役目を果たしており、凍りついてしまった漬物を解かすために囲炉裏で朴葉に載せて焼いた料理法が始まりといわれています。朴葉の上で切り漬けを焼いて、生卵を混ぜて半熟で食べます。
養肝漬(三重県)
伊賀盆地特産の白瓜の芯を抜き、その中に紫蘇・生姜・大根・きゅうりなどを細かく刻んで詰め、たまり醤油で味をつけ漬けたもの。藩主藤堂高虎が陣中に食料として常備し、武士の志気を養う、つまり「肝っ玉を養う漬物」という意味で「養肝漬」と名づけられ、忍者の携帯食でもあったそうです。
メロンの粕漬(島根県)
島根の特産品アムスメロンを使った漬物。間引きされた小さめのメロンを天日で干し、粕漬けにしていましたが、現在は専門の農家さんがいるなど、農家の味が発展して全国に広がりを見せている漬物。メロン独特の風味を大切にした味となっています。
パパイヤ漬け(鹿児島県・沖縄県)
鹿児島の皆さんは、鶏飯には欠かせないパパイヤ漬けとしてなじみがありますが、私をはじめ県外出身の方やラジコで聴いてくださっている全国の皆さんは南国のフルーツパパイヤが漬物になっているというのは驚きだと思います。しょう油と砂糖で作ったタレに漬け込んだパパイヤはシャキッとした歯ごたえもあり美味しいですよね。
全国各地には今日ご紹介したもの以外にも様々な漬物がありましたが、漬物は保存食ということもあり、圧倒的に寒い地域のほうが種類が豊富でした。雪深い冬にも野菜を食べられるように作られたんですね。ただ、九州のなかで見てみますと鹿児島県は山川漬けやタッバケ漬、桜島大根の漬物などご当地漬物の多い県でした。