「ホッキョクグマ」
2/27きょうは「国際ホッキョクグマの日」。ホッキョクグマとその地球環境について考える日として2005年、アメリカとカナダに本部を置く国際的な動物保護団体「ポーラーベアーズ・インターナショナル」によって制定されました。きょうは、(郷土スイーツではなく)
動物のシロクマ=ホッキョクグマについてお話します。
ホッキョクグマとは
地上最大級の肉食動物。オスは体長およそ2.5m、体重およそ800kg、メスは体長およそ2m、体重はおよそ300kg。北アメリカ大陸北部、ユーラシア大陸北部、北極圏に分布しています。シロクマともいわれるように、毛の色は半透明(ストロー状になっていて、断熱効果もあります。以前の山プロ「プチプチ」の回でも空気を含むと断熱効果があるという話をしていますね)肌の色は黒!驚きです。そして毛は、夏は日光による酸化のために黄色みを帯びるそうです。(汚れているわけではないんですね・・・)長い毛と厚い脂肪層で冷たい外気を遮断しています。頭部が長く伸び、前脚が大きいです。これは、遊泳に適した体型なんだそうです。何時間も氷の間をぬって泳ぐこともできます。
3~6月の交尾期のみ、オスとメスがともに行動しますが、通常は、私たちがテレビの映像などで見るように単独で行動しています。おもにアザラシや魚類を捕食しますが、その他の海に住む哺乳類、鳥類、なども食べます。氷が解け、住めるエリアが狭くなる夏の時期には、陸地に移動し絶食状態となります。この頃は、新陳代謝を低く押さえて体力を温存し、春の間にできるだけ多くの脂肪をとっておく必要があるのだそうです。
動物園などで会える動物でもありますね。平川動物公園のホッキョクグマ「カナ」は残念ながら昨年10月死んでしまいましたが、北海道の旭山動物園や東京の上野動物園、大阪の天王寺動物園で見ることができます。八木山動物公園では、2/13の地震でホッキョクグマの展示を設備点検などのため中止していたそうですが、2/18から順次再開しているようです。
ホッキョクグマと地球環境
狩猟などで絶滅が危惧されていましたが、国際的な保護活動により一時的に危機を脱しました。しかし、地球温暖化や北極圏の環境悪化などを受け、数が減ってきています。北極が温暖化するとアザラシを捕獲するため必要な氷が減少、春の間に脂肪を蓄えることができず、個体数は減っていってしまうとされています。ウェザーニューズのグローバルアイスセンターによりますと、地球温暖化の影響で海氷の融解が急激に進んでおり、海氷域面積を20年前の同時期と比べると最大でおよそ300万㎢減少、これは日本の国土のおよそ8倍分なんだそうです。
また、WWF=世界自然保護基金によりますと、ホッキョクグマが高濃度の環境汚染物質にさらされているんだそうです。世界各地で発生するダイオキシン類や農薬などの「残留性有機汚染物質(POPs)」と呼ばれる有害な化学物質は、北極圏へと集まってきています。 熱帯地域で散布された農薬の大部分は土壌に留まることなく大気中に拡散し、気流に乗って北極圏に運ばれてきます。また、先進国の大都市や工場周辺から流れ込んだ河川の水も、海流と共に流されてきます。結果として、北極や南極といった極地は、汚染濃度が発生地域よりも高くなる場合が少なくありません。海に溶け込んだPOPsは植物プランクトン→動物プランクトン→小魚→アザラシ→ホッキョクグマと生態系の上位にいる動物ほど濃縮され、分解・代謝されないまま体の中に残り、子どもたちに引き継がれてしまいます。
POPsのほかにも北アメリカ大陸やヨーロッパ大陸から、家電などにかつて使用されていた工業材料有害化学物質 高濃度のPCB(ポリ塩化ビフェニル)、高レベルの水銀、カドミウムなどがホッキョクグマから検出され、地球温暖化や環境汚染の影響を真っ先に受けているのは彼らかもしれません。
環境保全に対する関心は日本でも高まってきていますが、遠くに住むホッキョクグマたちが苦しんでいるということがこのように具体的にわかると、ますます意識が高まりますね。ホッキョクグマを守ることは北極圏を守ること、遠く離れた自然を守り、私たちが住む地球を守ることにもつながります。