80か国を旅し、旅をテーマにした本を出している鹿児島出身の作家、もりともこさんです。
屋久島の宿で1か月間、住み込みで働きました。
(もりともこさん)「80か国まわったあとで、自分の身近なところにこういう宝物が見つかるってほんとに生きてて良かったって思いますね。」
鹿児島市出身の作家・もりともこさん47歳。20代からアジア、ヨーロッパ、中東、南米など世界を旅し、雑誌などで旅行記を発表してきました。2010年に37歳で離婚したあと、2011年に四国遍路1600キロを歩いた体験をまとめた『バツイチおへんろ』で作家デビューしました。
スペインでは、1000キロを歩いたあと、巡礼宿での住み込みボランティアとして生活。その経験を綴った新刊「マンマ・ミーア!」では、宿での出来事がユーモアたっぷりにつづられています。
「旅が私の家」というもりさん。この3年で3か国・12軒の宿で働きながら、旅を続けてきました。次の旅先に選んだのが、世界中から旅人が集まる、屋久島のホステルです。9月からおよそ1か月間、住み込みで働くことにしました。
(もりともこさん)「外国は布団とかないから、布団を干したりって作業がここで始めて、あと風呂のおけ。日本だ~と思って」
(オーナー妻・渡邉萌さん)「ともちゃんはすごい頑張り屋さん。何人の国の人でもすぐ打ち解けて助かってます。」
この宿では、島ならではの出来事も。9月21日の台風17号でフェリーや飛行機が欠航し、観光客は宿に缶詰状態になりました。
(もりともこさん)「ホステルもお客さんが立ち往生で山も行けない、店もしまってる、さあどうしようってなって、でも耐えるしかないわけですよ。みんなでチームタイフーンとか言って台風パーティしたんですね。厳しい環境も最終的にはすごいおもしろくなって、ツーリストたちは予定してた観光はできなかったんだけど、2泊3泊全部台風の思い出になっちゃったんだけど、去っていくときに、ほんとおもしろかったまたきたい!って言ってくれて、働くほうとしては嬉しい気持ちでいっぱいでした。」
休日には、自転車で出かけたり、山を登ったりと島を満喫。これまでになく穏やかな生活に、今まで目に入らなかった自然の美しさを感じています。
(もりともこさん)「森に入ってこけってこんなにきれいなんだとか、自然の感じ方が、わあすごい、わあきれいだけじゃなくて、小さいポイントにフォーカスするようになって。雨にしても今日の雨の落ち方は昨日と違うなとか、昔は考えなかったことを考えさせてくれる。島が持つ力なんじゃないかと思うんですけど。」
世界中からやってきた旅人で盛り上がるホステルでの夜。
(もりともこさん)「きょう1日、どこに行ってきたのっていう話をする。みんな山、海、温泉なんですけど涙を浮かべるくらいの勢いで、すごい森に行ってきたって写真を見せてくれる。」
(観光客イギリス人・ジャックさん)「トモコは世界中のことを知っていて、たくさんの言葉を話して、本当に面白い!」
9月から今月始めまでおよそ1ヶ月の滞在で、屋久島の人や海外の観光客とたくさんのつながりができました。OL人と自然、人と人がつながる島。
(もりともこさん)「島じゃなかったら、同じメンバーでもこんなつながりはなかったんじゃないかなっていう気がするんですね。スケールの大きい風土と、優しい空気と、島の風と、そういうのがあるからみんながあたたかくつながってられる。ちょっと海行ってこようとか、ちょっと散歩行ってくるからこの子みててね、とかそういうのってたぶん大都会だとそういうのはなくて。すべての時間の流れとかが大好きですね。」