写真家の三好和義さんです。「楽園」をテーマに国内外で撮影を続け、多くのファンを魅了しています。屋久島との関わりや、森で感じる意外な感覚について話を聞きました。
色鮮やかな南の島々の風景が切り取られた写真集。
楽園大百科こちらは、沖縄。「ニライカナイ神の住む楽園・沖縄」そして四国八十八か所から高野山へ「巡る楽園」・・・日本を代表する写真家の一人、三好和義さん。「楽園」をテーマに、日本はもとより、世界の風景を撮影してきました。
「南国のタヒチとかモルディブとかそういうのをずっと撮ってたんですけれども、その中でタヒチでいたときかな、それまで海ばっかりだったのにこの緑の森を撮ってみたいなってなって、タヒチの森も良かったんですけれども、もっと深い森はどこかにないかってことで、アマゾンとかいろいろな外国の緑の深いところを探したんですけれども、ちょうどぴったし自分の撮りたい気持ちとぴったしくるところがなくて、たまたま屋久島を思いだして、屋久島は良いかもっていうようなところがありましたね」
(最初の屋久島の森の印象というのはどういうものだったか覚えていますか?)
「瑞々しいというか雨に濡れている景色というのかな、緑の勢いというか、そういうのをこんなに綺麗だし、心地よいもんだというものを感じましたね。それまで海しか撮らなかったのに緑の生命力とかそういうのに驚いたっていうのが屋久島なんですね。」
写真集「屋久島」。森や滝、縄文杉といった屋久島のスケールを感じさせるものから、コケのしずくや花といったミクロの世界まで、三好さんが見つめた「楽園」屋久島が写しとめられています。
「楽園という言葉で言えば一番自分にはしっくりくるんですけれども、緑の楽園というのもあるし、あとはまた日本人にとって特別な宗教観を含めた宇宙のような広がりもあるし、そこに行って癒される、そういうような、お寺のお堂の中にいるようなそんな気持ちが屋久島の森の中にいると感じられる。日本人にとって特別な場所だなというのをいつも感じていましたね」
三好さんが撮影を続ける奈良・室生寺。尊敬する写真家、土門拳が屋久島と同じように情熱を傾けて撮影した場所です。写真集には自然と祈りの空間が四季の風景とともに溶け合っています。
「いつもお寺を撮るときに、室生寺なんか特に屋久島の森の中にいるような気持ちをもっていますよね。それで屋久島と室生寺、東大寺ももちろんそうなんですけれども、お寺の中にいて、気持ちが安らぐ。そういう気持ちと屋久島の森の中で、歩いていたら中々分からないんですけれども、写真を撮るために三脚を据えて、じっとそこでいますよね。その過ごす時間というのがお堂の中にいるような気持ちが落ち着くと言うんですかね、そういうのが面白いなといつも思いますね」
「楽園」に込めたメッセージ
「楽園という言葉から想像できる場所であったり想像できるものであったりそういうのを写真で繋げることによって、理想とするような理想になるようなそういう世界が広がったら良いなということで、その中にやっぱりみずみずしい屋久島の緑の森というのはすごく重要な部分でもあるし」
「千年っていうのが、お寺の千年と自然の中の千年っていうのは一緒のようでこんなに違うんだとも思うし、だけれどもその中でいる心地よさというのが、やっぱり屋久島ならではの時間の流れそういうのが良いですよね」