屋久島の自然を新たな視点で撮影している田平拓也さんです。
田平さんがドローンで撮影した屋久島の春の森です。緑の杉、新緑の楓、そして山桜のピンクが美しいモザイク模様をつくります。屋久島の森が一番華やかな季節です。長崎出身の田平さんが屋久島に移住してきたのは、いまから20年ほど前のこと。
「Q:初めて島に一歩を記したときの印象どんな感じでした?A:着いていきなり目の前に山があるので、これは間違いなく僕が求めていた自然環境だなっていう思いが湧き上がってきました」
1年ほど林業に携わったあと、屋久島の自然にもっと深く関わろうと思い、ガイドを目指しました。
「森のことを勉強したあとに森の中を案内する仕事をしたいと思うようになって、それから山のガイドをすることにしました」
以来、ガイドとして、森で過ごす時間を何より大切にしてきました。
「屋久島の森の魅力っていうのが、僕の中で今50年の森、つまり戦後伐採されたあとに植林した50年から60年くらいの森と、江戸時代の伐採のあとに生まれた300年の森と、江戸時代にも人の手があまり入らなかった1,000年の森とってあるんですが。例えば縄文杉に行く道の中で50年の森を歩きながら、これが900年後どんなふうになるかっていうのをその1日の中で見ることができるっていう。その時間の長さっていうのを1日で体験して帰ってこれるっていうのは、なかなか無い場所だと思うんです。それをお客様にお伝えして、その時間を楽しんでもらうっていうふうにしてますね」
「出来るだけ時間をかけてゆっくりと自然と対峙して景色を見るっていうのを意識して仕事しています」
「宮之浦岳登ったときはですね、最初は1,000年の森から始まります。だんだん標高が上がっていくと森林限界に達していくなかで、木々がすべて矮小化して歪な形に変化していくその様子がまた面白いんですが、その背景には物凄い厳しい自然環境があるっていうのが目に見えてくるので。最終的に森を抜けてヤクザサの原っぱみたいなところに出たら、今度は巨石が物凄い形で山の中に転がってるんですよ。石一つ一つに命が宿っているような雰囲気で、島全体の生命力みたいなものを感じられるのがこの宮之浦岳だなと思いました」
「夜が真っ暗なだけに、太陽がありがたいですね。思わず手を合わせたくなります・・・」
1年に200日以上、森の中にいる田平さんから、メッセージ。
「Q:もしこのインタビューっていうかメッセージを自分の子供が同じような歳になったとき、あるいはもっと先に生まれてくるやがての屋久島の子供たちに何か言葉をかけるとしたら?A:ゆっくり歩けってことですかね。森をもっとゆっくり歩きなさい。それだけで森が教えてくれるって思うんです。人の考えには答えが無い、でも自然の中には答えが沢山あるから、自然から学べばいいっていう」「そのために山をゆっくり歩いたらいいんじゃないかなと思います」