2021年にかける!(5) 大迫敬介選手(サッカー)
コロナ禍での東京オリンピック開催に向けては様々な課題がありますが、出場を目指すアスリートは、大会があると信じて練習に取り組んでいます。
そんな「2021年」にかけるアスリートに迫るシリーズです。
第5回:大迫敬介選手(東京五輪・男子サッカー日本代表候補/出水市出身)
2月中旬まで指宿市で行われていた、サッカーJ1サンフレッチェ広島の春季キャンプ。
練習場に一番乗りしたグループの中に、出水市出身の大迫敬介選手(21)の姿がありました。
中学生まで地元チームでプレーした後、高校からは広島のユースチームに加入。年代別の日本代表にも名を連ね、2019年にはフル代表にも選ばれました。
チームメートと一緒の時は笑顔の大迫選手ですが、練習となると…。
一変、引き締まった表情に。それには理由がありました。
おととしはリーグ戦34試合中、29試合に出場していましたが、去年は15試合に留まり、正ゴールキーパーの座をつかみながらも、自身が目標としていた「シーズン通しての活躍」を果たせなかったのです。だからこそ、練習では、持ち味のシュートストップに磨きをかけるために、一本一本、基本的な動作にこだわり、日本代表でも評価されている攻撃の起点となるキックも繰り返し練習していました。
練習場に「最後まで」残っていた大迫選手。鹿児島でのキャンプについて伺うと。
「やっぱりご飯がおいしいというのと、温かさもそうですし、何よりもホテルの方と話をするとみんな鹿児島弁なのでイントネーションに懐かしさを感じるし、落ち着くし、帰って来たなと感じます。」
笑顔で語る様子に、シーズン開幕に向けて順調な準備がうかがえる大迫選手。
一方で、悔しさも味わった2020年についても聞きました。
「やっぱり…1年間を通して、もっとチームの力になりたかったです。何より、ピッチに立ってこその世界なので。厳しい世界ですけど、何としても自分の手でつかみ取って…という思いは、去年1年を通して痛感したので、今年は最初から1年間通して戦える準備をしていきたいと思っています。」
2021年は「東京オリンピック」という大きな目標も控えていますが、まずは目の前の一歩を大切にしています。
「東京五輪代表は、変わらずに自分の目標として掲げている大会ですし、代表枠だったり、GKのポジションも少ないですが、そこを何としてでもつかみ取って日本代表として戦いたいと思います。まずは自分のチームで出場機会をつかむところに集中しないといけないと思います。」
大迫敬介選手は、目の前の一本一本を大切にしながら「勝負の年」に挑みます。
去年取材をさせて頂いたときよりも、新シーズンへの「覚悟」の部分で変化を感じました。
練習での雰囲気も言葉1つ1つへの「裏付け」が感じられるものでしたし、インタビュー中に繰り返し使われた「つかみ取る」という言葉に、思いの強さを感じずにはいられませんでした。
またコロナ禍での2020年シーズンを通して、応援して下さる方や支えて下さる方へ、ピッチに立つことで恩返しをしたいという思いがこれまで以上に強くなったそうです。
2月末のJ1開幕戦からピッチに立つことが、日本代表のユニフォーム姿の一歩になりそうです。
【取材報告:松木圭介】