2021年にかける!(4) 鶴田玲美選手(陸上短距離)
コロナ禍での東京オリンピック開催に向けては様々な課題がありますが、出場を目指すアスリートは、大会があると信じて練習に取り組んでいます。
そんな「2021年」にかけるアスリートに迫るシリーズです。
第4回:鶴田玲美選手(陸上短距離・東京五輪リレー日本代表チーム候補)
2020年10月に新潟で行われた陸上の日本選手権・女子200メートルで23秒17、歴代3位の好タイムで初優勝し一気に注目された鶴田玲美選手(鹿児島市出身/南九州ファミリーマート所属)。
年末には東京五輪出場を目指す女子リレーチームの候補に選ばれるなど、2021年は、大きな期待を背負ってのシーズンになります。
そんな新シーズンに向けての冬季トレーニングも、地元の高校生に交じって練習を続ける鶴田選手。
ベースとなる脚力を作るために、多く走りこむこの時期、練習終盤では苦しそうな表情も見せました。
また、走りこんだ後も筋力トレーニングに取り組むなど、地道な練習が続いています。
さらに土・日には、陸上競技場で国体を目指す成年メンバーと切磋琢磨。
取材したこの日は200mを徐々にペースを上げながら7本走るのを2セット行う日でした。
鶴田選手にいまの練習の強度について質問すると…。
「1セット目の後半から意識が飛びだして…2セット目の最後3本は、もう、は~~~って感じで。」
包み隠さずに、表情以上の苦しさを教えてくれました。
こんな厳しい練習も、最後まで妥協しない鶴田選手について、指導している新開浩一コーチは。
「例年よりも早く冬季トレーニングに入る中で、かなりの走り込みをしてきました。これまでの10%増しくらいですね、常に。本人も「もうやめてくれ…」って思ったかもしれない…でも、そんな練習をケガなくこなせたことは大きいです。これから実際にシーズンインが近づく中で、さらに質を上げなければならない。その「下準備」がこの冬季練習で出来ているのは、これからの成長が楽しみです。」
この点について、鶴田選手にも聞きました。
「一日一日、一本一本やり切っているという感じです。まだまだ課題があるので、少しづつ改善・強化しながら、去年の優勝は無かったように考え、もう一回、基礎的な所からやっています。」
ただ、その練習内容はこれまでと同じではありません…さらに上を目指すためにも。
「練習は、キツクなりますね(笑)。でも高校生や同じ社会人の先輩方が一緒に練習して下さるので、気持ち的な支えが大きくて、頑張れています。」
仲間の支えも力に、東京オリンピック出場を目指すリレー代表チーム入りに向け、より高いハードルを自分に課しています。
「もっと頑張らなければとか…候補選手と競い合えるようになるためにとか…より一層頑張らなければと思っている。去年のタイムというのをいつでも出せるぐらいにならないとその先は見えて来ないのかなと思う。今年は笑って終われたらいい。充実したなとか、良かったなと思えたら一番いいと思う。」
今シーズンを「笑顔」で終えるため、鶴田選手の地道な練習は続きます。
地元・鹿児島に戻って初めてのシーズンで「日本一」に輝いた鶴田選手。
2年目の今年、大きなステージが見え始めていますが…目の前の一歩を常に大切にしています。高校・大学時代と同様に「しっかりと積み重ねる」ことを、いまも続けているところに、活躍の原動力があるように感じました。
リレー日本代表候補入りに向けては、3・4月が一つカギになります。
さらに、連覇がかかる6月の日本選手権での活躍も楽しみです。
【取材報告:松木圭介】