サッカーが教えてくれたこと…。「もうひとつのW杯」取材日記(4)

8月5日からスウェーデンの中央部、鹿児島からは直線距離で約8400km離れたカールスタッド市を中心に行われている、INASサッカー世界選手権、通称「もうひとつのW杯」の取材のためスウェーデン支店に居ます。
「北欧の地」を感じながらの取材活動を、今回は「日記形式」で記録することにしました。
知的障がい者サッカー日本代表の様子を少しでも感じて頂ければと思います。

-店主・松木圭介

Day3-(2) 8月15日(水) 曇りのち晴れ

(国代表のプライドをかけた戦い)

PM2:00 試合会場到着

順位決定トーナメント・スウェーデン戦の会場となるSannerudsvallen,Kilまではバスで40分ほど。車内は驚くほど静かだった。
試合会場の地域のスポーツセンターについた日本代表は、ピッチの状況を確認。それぞれの試合準備へと入っていった。最後にピッチに残っていたのは西眞一監督。ロッカールームへの戻り際に「滑りやすそうですね」と声を掛けてくださった後に、間を置いて…「条件は両チーム一緒ですから、あとは選手たちがやりきってくれるか。そのために出来ることを、最後までやるだけですね」と落ち着いた表情で話して下さった。勝利への準備は、整い始めていた。

PM3:40 ロッカーアウト

選手たちがピッチへ入る準備を整えて整列へ向かう。いよいよ試合が始まる。

(エスコートキッズは地元チームの女の子 スウェーデンは女子サッカーへの注目度が高い)

PM4:00すぎ 日本-スウェーデン戦 キックオフ

日本の対戦相手は体格で勝る地元・スウェーデン。県代表でも活躍する谷口拓也選手が先発出場した。
前半立ち上がりから相手陣内に攻め込むも、なかなかシュートを打てなかった日本。逆に、相手に攻め込まれた場面では、体を張った守備を見せた。すると前半39分。西眞一監督が狙っていたサイド攻撃から、最後に安達選手が落ち着いて決め、日本が先制。1点リードで試合を折り返した
後半に入っても一進一体の攻防が続くなか、西監督は流れを変えようと、鹿児島県出身の原良田龍彦選手をピッチに送る。その原田が右サイドで相手を振り切り、得意の左足を振り抜きシュート。相手GKの攻守に阻まれたが、いい入り方で起用に応えた。
このまま日本の勝利かと思われた、後半40分。クロスボールからファーサイドで合わせられ、相手に得点を許した日本。試合は延長戦へと突入。その延長戦でも、互いに譲らなかった両チーム。
120分の激闘でも決着つかず、勝敗は「PK戦」で決することに。

そのPK戦、両チーム3本ずつ成功させたあとの4本目。日本は、GK内堀選手が一本止める。
そして日本の最後、5本目のキッカーは谷口選手。
左隅に見事に決め、PK戦の末、日本が今大会初白星を掴んだ。

(地元スウェーデンに勝利!歓喜に沸く)

試合終了後、ベンチの前で輪になり、拳を突き上げ喜ぶ選手を笑顔で拍手をしながら迎えた西眞一監督とスタッフ陣。輪が解けたあとの西監督のホッとした表情が忘れられない。

試合後、谷口拓也選手は「GKのしんちゃん(内堀選手)が止めてくれたので、絶対に決めるんだという思いでした。」と、チームメイトを称えた。
また、西眞一監督は「ここまでの敗戦の悔しさと、ピッチ内で選手たちが最後まで声を掛け合ったからこその勝利です」と、今大会初白星の意味をかみ締めていた。
これで5位決定戦に進むことになった日本代表。17日に、今大会最後の試合で、予選リーグで敗れたロシアとの再戦が決まった。

【試合結果】
日本   1 - 1  スウェーデン
1 前半 0 / 0 後半 1
0 延前 0 / 0 延後 0
<PK>
日本    |○○○○○|5
スウェーデン |○○○×-|3

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