SDGsの開発目標17のうち6番目の目標、「安全な水とトイレ」について世界中の学生と意見を交わした鹿児島市の高校生を紹介します。冨山記者の取材です。
鶴丸高校2年 田上愛さん「SDGsは貧困みたいな途上国の問題と捉えられがちで、私もそういう印象を最初はもっていたんですが、ゆくゆく1つ1つの項目を見ると、私でも少しずつ貢献できるのなかと感じました」
鹿児島市に住む鶴丸高校2年生・田上愛さんです。
田上さんは、JCI=日本青年会議所がグローバルな視点をもつ次世代の人材を育てる目的で毎年行っている「グローバルユース国連大使」事業に全国から選ばれた12人の中に県内からただ一人選ばれました。
例年、ニューヨークの国連本部などで世界中の若者と一緒に研修を受けますが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインでの参加になりました。
日本を含む6か国からおよそ30人の学生が参加し、SDGsについて学びました。
田上愛さん「世界のニュースを聞いていたりすると、SDGsという言葉が出てくるキーワードだなと思っていたので、(SDGsを)勉強したいなと思って参加しました」
研修では、SDGsの6番目の開発目標「安全な水とトイレ」について話し合いました。
研修で取り上げた課題、「発展途上国の学校に寄付でトイレを設置する」。
一見、誰もが喜ぶかと思った活動ですが、田上さんはあることに気づいたといいます。
田上さん「私自身が勘違いというか、少し固定観念をもっていたなと感じる点がありました。現地の人にとっては、一番変えてほしいことや必要なことだったりが、綺麗なトイレが使えることではないかもしれないし、日本の価値観で『こういう生活になったらいい』というのをただ押し付けるような支援ではなくて、現地の方だったり他の地域の方と一緒に考えることで、その人たちに本当にいい支援ができるんじゃないかなと思いました」
よかれと思った支援が、自分たちの価値観の押し付けにつながっているのではないかと意識を改めることにつながりました。
参加メンバーと話し合い、持続可能な取り組みとしてトイレを初めて使う現地の子供たちのために、トイレの使い方、手洗いうがいの大切さを伝える動画を作ることにしました。
そして今月、日本青年会議所がトイレの設置を進めているカンボジアの小・中学校に動画をプレゼントしました。
田上さん「その反応だったり、本当にこれで手洗いをしてくれる人やうがいをしてくれる人達がいたらすごく嬉しいなと思います」
鹿児島市の環境未来館で、今月行われたSDGs啓発イベントに田上さんの姿が。
同世代の高校生およそ20人を前にSDGsの大切さを訴えました。
田上さん「もちろん2030年までにSDGsの(17つの目標)項目が達成されている社会が一番望ましいじゃないですけど、でも私はそれ以前に、今ある世界の問題を、みんなで解決しようっていう方向性ができたことが、一番それがいいことだと思っているので、みんなで何か目標に向かっていけるような社会だったらいいなと私は考えています」
同じ目標に向かって、たくさんの人が手を取り合って協力し合うことの大切さに気づいたという田上さん。世界中の仲間と理想の未来を描いています。