薩摩の教え

天吹①

明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。先週は、郷中教育を今に伝える野太刀自顕流のだちじげんりゅうについて、鹿児島市上之園町の共研舎での稽古風景を交えてお伝えしました。荒々しい気迫に圧倒された一方で、薩摩の武士は、天吹てんぷく薩摩琵琶さつまびわもたしなんでいたというお話を伺いました。
今週は、現代もなお継承されている天吹、薩摩琵琶についてお伝えします。

 

放送でお聞きいただいたのは、共研舎の野太刀自顕流研修会 副道場長、柚木盛吾ゆのきせいごさんの演奏する天吹の楽曲「タカネ」です。継承されている天吹の楽曲の中で一番高い音が使われていることから、「タカネ(高音)」という曲名がついたと言われています。

天吹については、次のようなエピソードが伝わっているそうです。

関ヶ原の戦いに出陣した武士・北原掃部助きたはらかもんのすけが徳川方に捉えられ、首をはねられようとした時、今生の名残にと愛用の天吹を吹き鳴らしたところ、その音色と武士のたたずまいに敵方が感服。天吹が北原掃部助きたはらかもんのすけの命を救った。というお話です。

共研舎に集う天吹同好会の方々は「悲痛な哀愁を帯びた‘タカネ’の楽曲を聞くと、関ヶ原の北原掃部助きたはらかもんのすけの逸話をほうふつとさせ、胸に染み入ります」と、先人への思いを馳せておられました。素朴な音色だからこそ、聴くほどに味わい深い趣がありますね。

 

それでは、明日も、薩摩の武士のたしなみであった天吹についてお伝えします。
天吹の音色は、ぜひ「ラジコ」で聞いてお楽しみください。

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