薩摩の教え

郷中教育31

今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介していきます。

郷中の組織は、年齢別に「小稚児こちご」、「長稚児おせちご」、「二才にせ」、「長老おせんし」に分けられます。
先週は、その中の小稚児17ヵ条、長稚児8ヵ条の掟をご紹介しました。
この掟は、標準的なものでしたが、方限ほうぎりごとの例えば「下荒田郷中掟」などを見ると標準的な掟とは、いささか面向おもむきが異なっていました。
これは、その郷中が設けられた地域差から生まれたものだと推測されます。

 

侍の家庭では、男の子が生まれ7才になると、郷中の組織に入らなければならない掟がありました。
その手続きは、とても簡単で、父親は7才の男の子と一緒に郷中の座元ざもとへ向かいます。
「座元」は、各家庭が持ち回りをし、その場所は、毎月変わっていたようです。
郷中の座元ざもとへ向かう時、小稚児は短い脇差を差すのがルールだったようで、座元に到着した父子おやこは、まず父親が二才頭にせがしらに向かって「頼む」と依頼。
二才頭から、二、三の注意事項があった後、稚児の名前を記す・・・
これだけの手続きで全て完了したようです。

 

次に、稚児ちごの日課です。
朝、目が覚めるとすぐ、郷中の先生の元へ行き、書物を習います。
到着順で授業が行われますが、小稚児が家を出るのを許されるのは、午前8時。
この時間を知らせる鐘、すなわち時鐘じしょうは、鶴丸城、現在の鹿児島医療センターの場所にありましたが、今は、鹿児島市易居町、かつての鹿児島税務署隣の「不断光院ふだんこういん」に現存しています。
この鐘を基準に鶴丸城下の人々は、一日一日を過ごしていたのです。

機会がありましたら、是非この時鐘じしょうをご覧ください。
いにしえの音が聞こえるかもしれませんね。

 

では、今日も、鹿児島のこの言葉でお別れしましょう。また明日。毎日めにっごわんそ!

郷中教育30前のページ

郷中教育32次のページ

関連記事

  1. 薩摩の教え

    西郷南洲遺訓 第18条「政府が果たすべき役割」

    明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さ…

  2. 薩摩の教え

    郷中教育13

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介していきます。これ…

  3. 薩摩の教え

    西郷南洲遺訓 第13条「安易な増税をしてはならない」

    今週も「西郷南洲遺訓」からご紹介しています。今日は第13条「安易な増…

  4. いろは歌

    いろは歌「ひ」(44番目の歌)

    今日は、いろは歌の44番目の「ひ」の歌をご紹介します。独り身を 哀れ…

  5. 薩摩の教え

    水野さんにとって、西郷とは~水野貞吉さんのお話③

    山形の地で西郷さんの教えを今も伝え続けていて下さる庄内南洲会の理事長・…

  6. 薩摩の教え

    西郷南洲遺訓 第3条「政治の優先順位」

    明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さ…

PAGE TOP