薩摩の教え

郷中教育30

今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。

郷中の組織は、年齢別に「稚児ちご」、「二才にせ」、「長老おせんし」に分けられます。
薩摩では、6・7才から10才までの稚児を「小稚児こちご」、そして、11才になると「長稚児おせちご」と呼び、それぞれに掟がありました。
昨日は、幼いほうの小稚児の掟をご紹介しましたので、今朝は、長稚児の掟をご紹介しましょう。

 

「長稚児の掟」

一、前髪の有る者は、他所よそ二才にせ又は噺外はなしがい二才にせなどに打ち交わる間敷きこと
二、見物けんぶつなどにいづとき はらぐるひ言う間敷きこと
三、児頭ちごがしらよりもうわたしの あいそむく間敷く候、また あいそむくにいては はなしにいで間敷く候

 

など、八ヶ条が年長としかさの長稚児の掟です。
作られたのが宝暦ほうれき4年10月16日と言いますので、264年も昔のことです。

現代の私たちにも理解しがたい言葉がアチコチに記され、当時11才から14・5才の少年たちが掟を理解し、これを守っていた、と言うのですから驚くばかり。
しかも掟の最後には、「みぎ これ八ヶ条にあいそむく者は二才頭にせがしらもうたっそうろうなり」と記されています。
この掟に背くことのなかった長稚児が二才組へ進むことが許されるというのですから、現代の私達からすると、とても難しいことに思えます。

 

では、今日も、鹿児島のこの言葉でお別れしましょう。また来週。毎日めにっごわんそ!

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