薩摩の教え

西郷南洲遺訓 第33条「危機管理能力」

今週も西郷さんの言葉を書き残した「西郷南洲遺訓」からご紹介してきました。
今日は、第33条「危機管理能力」について語っています。


常日ごろ道義を踏み行わない者、正しい生き方を行わない人物は、
異変や不測の事態に出くわすと、あわてふためき、
何をして良いか分からなくなるものである。

例えば、近所に火事があった場合、普段から心構えの出来ている人は、
少しも動揺することなく、これに対処することが出来る。

だが、心構えの出来ていない人は、おろおろと狼狽して、
何をして良いか分からず、的確に対処することが出来ない。

それと同じで、日ごろから正しい道を踏み行っている人でなければ、
大きな出来事に遭遇した時、正しい対処をすることは出来ないものだ。

自分はかつて、出陣の際に兵士に向かって言ったことがある。

「わが軍の備えが十分であるかどうか、味方の目で見るのではなく、
敵になったつもりで見てみるがよい。敵の立場でどう攻めるか考えれば、
それこそが最大の防備である」・・・と。


正しく生きる覚悟をしておけば、とっさの時にも動じないと西郷さんは語っています。

ここで西郷さんは戊辰戦争での経験を話しています。

鳥羽伏見の戦いでは、幕府方約15000人に対し、新政府軍は約5000人。3分の1の兵力でしたが、「味方の視点ではなく、相手側の視点で」見た西郷さんの新政府軍が勝利しました。

自分の視点で物事を判断しがちになってしまいますが、一歩引いて相手側からの視点、あるいは第三者の視点で事態を捉えるよう心がけると、気づくことがより多くなるかもしれません。

今日は第33条、危機管理能力についてご紹介しました。
来週も、西郷南洲遺訓から、西郷さんの教えをご紹介して行きます。

西郷南洲遺訓 第32条「謙虚さをもち、慎み深く行動せよ」前のページ

西郷南洲遺訓 第34条「戦争や有事の時以外には、策略を用いてはならない」次のページ

関連記事

  1. 薩摩の教え

    野太刀自顕流③(共研舎)

    明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さ…

  2. 薩摩の教え

    郷中教育18

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。先週か…

  3. 薩摩の教え

    鹿児島の偉人たち~加来耕三さんのお話③

    今週は西郷南洲遺訓の紹介をお休みして、歴史家の加来耕三さんのインタビュ…

  4. いろは歌

    いろは歌「る」(11番目の歌)

    今日は、いろは歌11番目の「る」の歌をご紹介します。流通るづうすと …

  5. 薩摩の教え

    郷中教育50

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。昨日から…

  6. 薩摩の教え

    郷中教育29

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。昨日は…

PAGE TOP