薩摩の教え

西郷南洲遺訓 第21条「己に克つ」(後半)

昨日は、「西郷南洲遺訓」第21条の前半をご紹介しましたので、今日はその続きをどうぞ。


よく歴史上の人物を見るがよい。
大きな事業を始める人は、その事業の十のうち七、八割まではうまくいっても、
残りの二、三割を最後まで成し遂げられた人は少ないだろう。

何故なら、最初のうちは自分本位にならず、物事を慎重に進めるから成功し、
それで有名にもなる。

ところが、成功して有名になるに従って、いつのまにか自分を愛する気持ちが起こり、
人に対して、そして物事に対しても、畏れ慎むという精神が失われ、
驕り高ぶる気持ちが出てきてしまう。

自分の成し得た仕事や、過去の成功体験をもとに「何でもできる」という過信、
うぬぼれが生じて、まずい仕事をし、ついには失敗することになる。

それもこれもすべて、自分が招いた結果である。
だから、常に自分に打ち克つ心、自分の甘えに負けない心、真の克己心を持つことだ。

他人が見ていないからといって、悪いことをしたり、
誰も聞いていないから…と悪いことを言ったりせず、
常にその身を慎み戒めることが大事である。


物事を進めるとき、最初は目的意識がしっかり頭に入って慎重に進められることが多いと思います。
しかしある程度順調に進んでくる、あるいはある程度成功体験を積み重ねると、慎重さが無意識に失われて、失敗してしまうことがあるかと思います。

だからこそ自分自身をコントロールすることが大事だと西郷さんは主張しています。

己を知り、自分自身に負けない強い心を持ちなさいと説いています。

今日は第21条の後半をお送りしました。
明日は第22条「己に克つを心がける」についてお送りします。

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