H3ロケット1年越しの打ち上げ成功 「コスト半分」に課題も 鹿児島
17日に打ち上げに成功した日本の新たな主力ロケットH3。去年の失敗を経た1年越しの再挑戦。今後の宇宙開発を担うH3の成功に、責任者は「ようやく産声を上げた」と話します。
17日、種子島宇宙センターから打ち上げられた日本の新たな主力ロケット・H3。去年3月に打ち上げた初号機は、第2段エンジンに着火せず失敗し、今回は、原因の1つとなった電気系統の検査強化など対策を施した上での再チャレンジでした。
2号機では飛行性能を確認するため、ダミーを含む衛星3基をのせ、初号機と同じ高度およそ675キロの軌道への投入を目指しました。
ファンの思いを乗せた打ち上げから、およそ16分後。ロケットは予定の軌道に投入され、搭載していた衛星の分離にも成功しました。
開発段階からプロジェクトのとりまとめに携わっているJAXAの岡田匡史マネージャは。
(JAXA岡田匡史H3プロジェクトマネージャ)「本当にお待たせしました。ようやくおぎゃーと産声をあげられた。満点です」
1年越しの再挑戦で打ち上げに成功したH3。その姿は、MBCのスクープ投稿にも寄せられました。
オレンジ色のまばゆい炎。南種子町から、ペンネーム・いっちーさんが撮影しました。成功したと知った時、まわりのロケットファンたちと握手を交わしたそうです。
中種子町からは、天へとのぼっていく白い軌跡が。撮影した木下なるみさんは、まるで今年の干支、辰のように見えたといいます。
H3の姿は県本土からも。鹿児島の上空を通過していた航空機からも、雲の間を抜けて宇宙へと軌跡が伸びていました。
H3は低コスト・高性能を目指し、2014年から2197億円をかけて開発が進められてきました。
現在、運用されているH2Aの打ち上げ成功率は97.9%と世界トップクラスですが、打ち上げ費用はおよそ100億円と、世界水準の3割ほど高くなっています。
衛星の打ち上げ受注ビジネスでアメリカやヨーロッパなどが先行する中、日本の競争力を高めようと低コスト化を目指し、H3は電子部品の9割に自動車用の部品などを使用。打ち上げ費用はH2Aの半分、およそ50億円を目指しているものの、実現にはしばらくかかる見込みです。
(JAXA岡田匡史H3プロジェクトマネージャ)「半生をかけて取り組むに値するのがロケット開発だと思う。H3をまず自分たちの思っていた通りのロケットに仕上げたい。きっと良いロケットになっていくと思う」
現在運用中のH2Aは残り2基で運用の終了が決まっていて、H3の課題の克服が急務となっています。
H3ロケットは来年度、3基の打ち上げが予定されています。