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生産→販売→カフェ経営まで… 人気再燃 観葉植物農家の多角経営 兄弟の持ち味いかして(2023年6月6日放送)

今、人気が再び高まっているという観葉植物。こちらの観葉植物は鹿屋市の農家が生産したものです。それぞれの持ち味をいかし、新たな分野を切り拓こうと、さまざまな事業に乗り出した兄弟を取材しました。


(前原剛三郎さん)「6~7割は水をかける時間。大変っていうよりは楽しみな部分」

鹿屋市の前原剛三郎さん(36)です。2人の兄が父親から継いだ農業経営に10年前から加わり、観葉植物を生産しています。

(記者)「こちらには、人気に再び火が付いたという多肉植物が並んでいます」

鹿児島県の観葉植物の産出額は2009年、過去最高の36億円となりました。その後、農家の高齢化の影響などで2018年には21億円まで減少しましたが、ここ数年はコロナ禍の巣ごもり需要で家庭向けの販売が伸び、おととしは26億円に回復しました。

前原さんはアメリカや中国、ヨーロッパなどから取り寄せた苗を育て、年間8万鉢を全国各地へ出荷しています。

(前原剛三郎さん)「まだまだ10年で、やっと水やりがなんとかできるよねっていうぐらい」

足かけ10年。200種類から300種類に上るという一鉢一鉢には、磨き続けた技術と愛情が詰まっています。価格帯は数千円のものが中心ですが、100円の多肉植物から80万円のものまでさまざま。

(前原剛三郎さん)「だいたいこの子で6、7か月ぐらいで仕上げていく」

こちらは同じ品種の植物です。ともに半年ほど育てていますが、違いは一目瞭然。水をかける時間から日に当てる長さ、苗と苗の間隔まで計算し、葉っぱにボリュームを持たせたり、茎と茎のすき間を空けたりと、消費者の好みにあわせて仕上がりを変えるよう工夫しています。

(前原剛三郎さん)「どの農家の、どの商品が欲しいと、消費者は言ってくれる。じゃあ『この子を送る』と言って出荷する。家族より長い時間一緒にいる。子どもや娘のような感覚で育てている人が農家には多い」

人気が高まる観葉植物ですが、肥料の値段は2年前に比べて4割上がったものもあり、経営への影響は避けられません。

(前原剛三郎さん)「どうしても値上げしづらい。50円とか100円の差で、あそこよりは高いから違うところに頼もうかということになる」

それでも前原さんには、心強いパートナーがいます。

植木鉢を手に向かったのは、農場の目の前にある建物。植物を販売する店舗にカフェを併設し、3歳上の兄・宅二郎さんが店頭に立っています。

コーヒーを飲みながら観葉植物を気軽に紹介できる場をつくりたいと、2009年に店をオープンさせました。客との日々の会話から、消費者が求める商品のヒントがつかめると話します。

(前原宅二郎さん)「客が欲しがっている商品をそのままつくる。植物のサイズや種類を感じられる」

2回の移転を経て現在の場所に落ち着いたのは、去年の5月。メニューも次々と増え、平日の昼間でもにぎわう店の主役は観葉植物です。

(カフェの常連客)「これを買って流木にくっつけて飾っている」

(カフェの常連客)「ゴムの木。急に成長したので、写真を撮って見てもらった」

園芸用品にとどまらず、植物が身近にあるライフスタイルを提案しようと、雑貨や洋服も並べています。

(前原宅二郎さん)「市場に卸すだけだと、消費される場所や植物が飾られる場所は見えない。僕らが飾るためサポートする」

さらに、多くの消費者のニーズを肌で感じるため、前原さん兄弟は3年前、東京にも植物や園芸用品を扱う店をオープン。苗の仕入れに商品の販売、店の経営と全国を駆け回る日々を送っています。

(前原剛三郎さん)「日本で誰もが知っている生産者になりたい。生産者として『植物をつくっているあいつがいるな』と言われるようになりたい」

(前原宅二郎さん)「植物が中心にあるが、いろいろなものを楽しみながら、『きょう植物買って帰る?』ぐらいの感じでいい」

農家の型にはまらない経営スタイルで夢を追う前原さん兄弟。その先には農業の可能性が無限に広がっています。

店名「アラヘアムポット・ア・カップオブ・コーヒー」
住所:鹿屋市東原町2848-3
営業:午後0時~午後6時
定休:火曜
電話:0994-45-5564