「まん延防止」適用開始 感染症や経済の専門家は?
「まん延防止」措置に伴い、鹿児島県内すべての飲食店に営業時間の短縮が要請されますが、感染症の専門家は「効果は大きくない」と指摘し、マスクの着用など1人1人の感染対策を改めて徹底することが重要と訴えます。
(鹿児島大学大学院 西順一郎教授)「オミクロン株の免疫を逃れる力が極めて強いことと、広がりやすいことで感染者が急増している」
県内では年末年始の帰省や飲み会などで、今月に入り感染者が急増。26日は過去最多の584人が確認されました。
県は27日から県内全域の飲食店に営業時間の短縮を要請しますが、感染症の専門家は、世代を問わず職場や学校などで感染が広がっていることから、「効果は大きくない」と指摘します。
(西教授)「飲食店を的にした対策は、陽性者の減少には効果は大きくない」
現在、県内で療養や自宅待機しているおよそ2700人のうち、重症者はいませんが、西教授は、重症化リスクが高い高齢者に感染が拡大し、医療のひっ迫に拍車がかかることを懸念しています。
(西教授)「高齢者施設でのクラスターがきのうも報告されたので心配。オミクロン株に対しては(ワクチンの)2回接種での効果がほとんどないので、3回目を施設職員と高齢者に早く打つことが何よりも大事」
そして、マスクの着用や換気など基本的な感染対策を改めて徹底することが大切だと訴えます。
(西教授)「オミクロン株もそれまでの株と変わらない感染経路。(不織布の)マスク・換気・密集しないことを守れば、オミクロン株でも感染防止できる」
今回の「まん延防止」措置期間中は、第三者認証店であれば酒の提供ができたり、県有施設も利用可能にするなど、去年8月の前回と比べ、経済を回すことに配慮した内容となっています。
これについて経済の専門家は、評価しつつも、感染の広がり方が急で大きいため、「実効性があるかどうかは気がかり」と話します。
(九州経済研究所 福留一郎・経済調査部長)「毎日のように全国では1万人単位で増え、鹿児島も連日最多更新という中で、お酒を出せるから店に行って飲食しようかという、そういう気持ちになかなかなりづらい。(経済への)実効性がどれだけあるかというところは、なかなか厳しいところがあるのかなと思う」
加えて、「企業など社会機能の維持」も大きな課題になり、前回とは異なる「二重のダメージ」が懸念されるとしています。
(福留・経済調査部長)「直接的な客数とか売り上げの減少に加えて、これだけ感染者、濃厚接触者が急増して、また数も増えるとなると、いわゆる欠勤による事業活動がなかなかできない。あるいは制約がかなり大きいというダメージというのもある」
ただ、収束のスピードが速いと経済の持ち直しも早いとみていて、対策に力をいれてほしいと話します。
(福留・経済調査部長)「特に個人消費、11月12月、年末年始にかけてもそうだったが、感染が落ち着けば経済活動は一気に湧き上がる。本当にここは正念場としてできる対策、ワクチン、感染防止対策を進めながらできるだけ早く実現するというのが大事」