11月9日(土)、鹿児島大学稲盛会館キミ&ケサメモリアルホールにおいて、
令和元年度防災・日本再生シンポジウム「地震火山災害の軽減に貢献する鹿児島大学の観測調査研究」
(主催 地震火山地域防災センター、共催 一般社団法人 国立大学協会)が開催され、
一般市民、学生、教員、自治体・防災機関関係者など、122名が参加しました。
シンポジウムは、浅野敏之 地震火山地域防災センター特任教授の司会でプログラムに沿って進められました。冒頭、岩井久 理事(企画・社会連携担当)から主催者として開会挨拶があり、
続いて一般社団法人国立大学協会の山本健慈 専務理事から共催者として来賓挨拶がありました。
次いで鹿児島大学が、離島域を含め南北600kmにわたる県土の中で実施している地震や
火山活動の観測調査研究について、3つの講演がありました。
八木原寛 准教授(地震火山地域防災センター附属南西島弧地震火山観測所)からは、
「九州南部・南西諸島北部域の地震活動」と題して、継続して実施している観測調査活動が紹介されるとともに、
プレート境界で生じる多様な滑り現象の解説、この地における観測調査の重要性等について説明がありました。
眞木雅之 特任教授(地震火山地域防災センター)からは、「火山噴煙柱のレーダ観測 -これまでの成果と今後の計画-」と題する講演があり、これまでの観測調査で、噴煙柱内の3次元の降灰分布の評価が可能になったことや、船舶レーダの活用により噴石や発達する噴煙柱の検出に成功したことなどが報告されました。
井村隆介 准教授(共通教育センター)からは、「ドローンによる火山観測と火山活動評価」と題する講演があり、
ドローンにより空撮した阿蘇山中岳や新燃岳、桜島の火口の写真等が紹介されました。
危険で立ち入り困難な場所でも観測調査ができるドローンの有用性や、
撮影された写真や動画から火山活動が評価できる研究面での発展性についてお話しがありました。
シンポジウムの後半では、鹿児島地方気象台の稻葉博明 次長から
「気象庁の火山監視と情報発表」と題する特別講演が行われました。
気象庁が行っているわが国全体の火山の観測体制の説明とともに、
桜島をはじめ鹿児島県内の火山の観測・監視体制についてお話しがありました。
さらに気象庁が発表する火山の予報・警報と各種情報について説明されました。
続いて行われた総合討論ではパネリストとして講演者4名が登壇し、
鹿児島大学が南九州・南西諸島域を観測調査領域とすることの強み、
予算削減下でも観測研究を推進する意義、地震火山防災のために研究成果を地域に対して
どのように発信すべきか等について、会場から出された質問を踏まえた活発な意見交換が行われました。
最後に、地頭薗隆 地震火山地域防災センター長が、
「鹿児島大学の地震火山防災・減災に向けた広範囲にわたる観測研究をさらに推進するとともに、
社会に対する効果的な情報発信に取り組んでいきたい」と述べ、シンポジウムをしめくくりました。