【8・6豪雨 30年目の証言⑦】浸水した金曜夜の天文館、地下の店は水没
1993年夏の8・6豪雨災害から今度の日曜日で30年です。鹿児島市では川が相次いで氾濫し、市街地を中心に広い範囲が浸水しました。
今回は、浸水した天文館で難を逃れた男性の証言です。
1993年8月6日。午後5時半すぎの天文館近く、加治屋町交差点の様子です。道路が冠水し、人のひざ下近くまで水に浸かっています。
その、およそ2時間半後、天文館のホテルから撮影された映像です。電車通りはさらに水かさが増し、車は立ち往生。建物の中にも水が入っています。
「どうしようもないわ」「帰れないの?」
鹿児島市では甲突川をはじめ川の氾濫も相次ぎ、市街地を中心におよそ1万3000戸が浸水しました。
(当時の映像)「鹿児島市中心部の繁華街、文化通りに来ています。ひざまで水につかっています」
この日は金曜日でした。いつもは客でにぎわうはずの天文館も街一帯が浸水し、地下の店舗は完全に浸かっています。
(当時のインタビュー)「地下の店ですから天井まで全部。電気製品、カラオケとか全部だめ」
当時、天文館にあった飲食店およそ1600店の3分の1が浸水の被害を受けました。
(今村忠美さん)「交差点は水浸しだった」
文化通り近くで寿司店を営む今村忠美さん(70)。あの日の夕方もいつも通り、営業前の仕込みをしていました。
(今村忠美さん)「仕込みが済んで出前先に行く途中に道路が冠水し、大変な状況だったからすぐに帰ってきた」
店先に土のうを積んで浸水を防ごうとしましたが、水の勢いはさらに増していきます。
(今村忠美さん)「夜7時ごろに急に水位が上がって。一生懸命、水をはかせようとしたが、どうしようもなくなった」「魚が全滅。冷蔵庫や冷凍庫が水で浮いてしまって」
店内は腰の上、およそ80センチ浸水。ビルの上の階に避難し、難を逃れました。そのあと目にしたのは、変わり果てた街の姿でした。
(今村忠美さん)「水だらけ。これが歩道。こっちが車道。へそまで水が来た。生まれて初めての経験」「今、水害がいっぱいあるが、水はやっぱり怖いね」
(MBCニューズナウ 2023年8月1日放送)